もくじ

トピック

■トピックには3つの種類「RET」があります



話し合う内容によって、

1. レポート系(Report)
2. イベント系(Event)
3. テーマ系(Theme)


と分けることが出来ます(ちょっとカッコつけて「RET」にしてみましたw)。ただ、それぞれオーバーラップする部分も多いので、厳密に切り離さなくても良いかと思います。


1. レポート系

日常の出来事などを話し合ったり、報告し合う。

・今日、楽しかったことはどんなことがあるかな?
・昨日の夜ご飯のとき、おうちでどんなお話をした?
・朝ご飯は何を食べた?
・昨日、おうちでどんなことをして遊んだのかな?
・お休みの時にどんなところに出かけた?
・お散歩の時に公園にゴミが落ちていたけれど、どう思った?

など


Point:日常にある簡単な出来事の報告からスタート

身近なレポート系のテーマはイメージしやすく、子どもたちには話しやすいようです。素朴な話題でも、お互いの意外な面が知れて楽しいことも多いですよ。

ぜひ、事柄を聴くだけではなく、その時の気持ちや考え方なども投げかけてみてください。子どもたちが自分の気持ちを表現するきっかけになるかもしれません。

まだみんなの前で自分の意見を言うことに慣れていないかなと思われる場合は、まずはこのレポート系からスタートしてみてはいかがでしょうか?


2. イベント系

お散歩や遠足に行く場所、運動会、お楽しみ会、卒園式など行事の内容を話し合う。

・今日のお散歩はどこに行く?
・運動会で何をやりたい?
・お楽しみ会でどんな劇をやりたい?
・今度の遠足はどこに行きたい?
・卒園式でどんな歌を歌いたい?

など


Point:答えを出すこともやってみましょう

レポート系がそつなくこなせるようになった後、このイベント系に取り組んでも良いかもしれません。

子どもたちの意見を聴いておいて、最終的には大人が決めることもあるでしょうし、決まったことが自分の希望と異なることもあるかもしれませんが、答えが何になっても、自分の意見を言えたこと、賛成してくれた人がいたこと、場合によっては自分と異なる方向に決まってしまったことなど、全てが将来の糧になります。

大切なことは、あくまで、子どもが考え、話し、聴くことですが、世の中には答えを決めなければならなかったり、合意を取らなければならないこともありますので、その練習の一つと考えてみてはいかがでしょうか。


3. テーマ系

先生が設定した、もしくは、子どもたちが話し合いたいテーマをもとに話し合う。


Point:なんでもOK! 答えは出なくてもOK!

答えがないものについて話し合うと、子どもたちの発想も広がり、どんな言葉が飛び出してくるか分からない面白さが出てきます。

特にステップを踏まず、最初からテーマ系の『かいぎ』を設定してみても全く構いません!

また、当初は特定のテーマを話していたのに、例えば、どのような態度で話し合うのが良いのか、

「〇〇くんは座っていない。座らないと参加していないみたい」

「座っていなくても話は聴いているよ」

「そもそもどうして座るんだったっけ?」

などという話題に切り替わるかもしれませんし、単に大人から与えられたテーマでなく、自分たちの中で浮かび上がってきたテーマで話すことも大切ですよる。必ずしも、哲学的な話題にならなくてもOKだと思います。

「参考:『かいぎ』のトピック集」も参照ください。


※ 「ピグマリオン・ミーティング」のススメ

「ピグマリオン効果」は、「人に期待されると結果が上向く傾向がある」というような意味ですが、「ピグマリオン・ミーティング」とは、「人の良い点を探して、性格や行動などを具体的に褒めること」(例えば、「◎◎していたのが優しかった」など)。

伝える側は、人の良い面に気づきやすくなり、伝えられる側は、自分では気付けないプラス面を見つけてもらえるだけでなく、自己肯定感も高まる傾向があります。

参加している子どもたち同士で褒め合うと、楽しい気持ちになり、精神的にも落ち着くことが期待されます。



■トピックの設定の仕方


1. ファシリテーターがあらかじめ決めておく。

2. ファシリテーターがいくつか決めておいて、子どもたちに選択してもらう。

3. ファシリテーターがいくつか簡単に紙に書いておき、くじ引きのような形で子どもたちに選んでもらう。

4. 参加者の誰かに質問を投げかけて、その内容からスタートする。

5. 参加者全員に投げかけて、話し合いの中で決めていく。



子どもたちから出た素朴な疑問、例えば、お散歩中に見たもの、友達の行動について訴えたいこと、子どもたちから「今これが好きだからこれについて話したい」と伝えられたことなどからスタートさせるのも一つです。

ただ、子どもたちになじみのないテーマは難しいので、『かいぎ』を活発にするためにも、子どもたちが触れたり見たりした経験があるもの、興味を持っていそうなテーマを投げかけてみてください。

また、一点、注意していただきたいのは「事前に用意した段取り」を重要視しすぎること。目の前の子どもたちの様子から話題を選ぶことも大切です。子どもはどんな様子か、どんなことを話し合う(話し合ってほしい)タイミングかを見極めることにも気を配ってみましょう。



■参考:『かいぎ』のトピック集



ご参考までに「テーマ系」で話すと面白くなりそうな話題をリストアップしてみます。

※以下のジャンル分けや年齢による違いは、便宜上、分けているだけですので、参考程度にご覧ください。もちろん、中学生の例題に書いてあることを小学生や幼児がやってもオーケーだと思います!


<初級>

• 好きな食べ物・嫌いな食べ物は?
• 好きな・ハマっているもの・ことは?
• 得意なこと・苦手なことは?
• パパ・ママの好きなところは?
• 最近、楽しかったこと・嫌だったことは?
• 今日、見た夢は?

など


<中級>

(自然や天気)
• なぜ雨や雪が降るの?
• なぜ朝と夜があるの?
• なぜ地震は起きるの?
• なぜ夏は暑い?冬は寒い?
• なぜ晴れの日は気持ちいいの?

(人間関係)
• なぜケンカをするの?
• ケンカをした後、どうやって仲直りすればいい?
• 誰かといると嬉しいのはなぜ?
• どうしてお友達の悪口を言っちゃいけないの?

(気持ち)
• どうして涙が出るの?
• 嫌な気持ち・悲しい気持ちになっちゃった時はどうすればいい?
• 好きとか嫌いってどういうこと?

(その他)
• なぜ遠足や運動会など、楽しみな日の前の日はなかなか眠れないの?
• 大人ってどんな人? 大人になるってどういうこと?
• 将来の夢は?
• 電車・車・バスはどうやって動いているの?
• 時事的な内容「ニュースで◎◎を見たんだけど、みんな知ってる?」

など


<上級>

(命への疑問)
• なぜ生まれてきたの?
• 死ぬってどういうこと?人は死ぬとどうなるの?
• なぜ人は生きるの?

(存在への疑問)
• サンタさんっている?
• 神様はいる? 神様って何者?

(家族への疑問)
• なぜお母さん・お父さんは怒るの?


<小学生以上のお子さん用の質問例>

(勉強)
• どうして勉強しないといけないの?
• 得意な教科・苦手な教科は?
• どうして勉強より遊びの方が楽しいと感じるの?
• 頭が良い人ってどんな人?

(学校)
• なぜ学校に行かないといけないの?
• 勉強って必要?
• 学校のルールで必要だと思うもの、必要だと思わないものって何だろう?
• いじめって何で起きるの?
• 友だちはたくさんつくるべき?

(身近な話題)
• お金ってなんだろう?
• どうしてお金持ちとそうでない人がいるの?
• お母さん・お父さんの言う通りにしたほうがいい?
• カッコいい、可愛いってどういうこと?
• なぜゲームに夢中になるの?
• なぜ子どもが化粧をしてはいけないの?
• どうしたら不審者を見抜ける?
• 嘘をつくのは悪いこと?

(その他いろいろ)
• 当たり前、普通ってなんだろう?
• 無ってどんな空間?
• 人はなぜ男女、もしくはいろんな性別に分かれている?
• ルールや決まりって必要?
• 「わかる」と「わからない」の違いは?
• 人を殺してしまう人がいるのはどうして?
• 働くことって何だろう?
• 失敗した時はどうすればいい?
• 成長って何?
• なぜ人は見た目が違うの?
• 外国の人と日本人は何が違う?何が同じ?
• 障がいを持っている人のことをどう思う?




<中学生以上のお子さん用の質問例>

・なぜ人は恋をするの?
・多数決で決めてはいけないことはある?
・犯罪をしてしまう人がいるのはどうして?
・なぜ成績をつけるの?
・なぜ人は働くの?
・心ってなんだろう?
・前世ってあるの?
・なぜ宗教はあるの?
・国って何?
・なぜ世界はあるの?
・「自分」はどこからどこまで?
・男らしさ・女らしさって何だろう?

など

※ テーマを決めていくにあたって、「てつがくおしゃべりカード」など様々なグッズも役立ちます。

■参考: 配慮が求められそうなトピック


・家族構成や内情
・保護者の職業・地位・収入
・男女の違いやジェンダー
・いじめ
・障がい
・国籍
・性教育
・恋愛
・戦争
・学校の成績や受験


これらは決して、「テーマにしないでください」と言うことではありません。とても大切なテーマであるので、ぜひ話し合ってみていただきたいと願うものの、お子さんの事情や保護者の考え方によっては、事前に相談してみることも必要かもしれません。

ただし、『こどもかいぎ』は「基本的に何でも話して良い」という精神も大切にしたいと思っています。配慮をしすぎることで、何も話せなくなってしまうことだけは避けたい、ですよね。


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