もくじ

基本枠組



便宜上、運営ルールを説明していますが、『こどもかいぎ』をやる人がそれぞれに変えていって構いません。あくまで「参考」としてください。

■参加者:誰でもウェルカムです!


・誰でも『こどもかいぎ』に参加できます。

・参加したくない子は無理に参加させなくても良いし、「面白くない」と言う子は途中で抜けても良いし、苦手だと感じた子は次から参加しなくても良いと思います。

・ただし、話し合うスペースには、参加者以外の人たちがいない方が、子どもの気が散らない傾向があります。



※ 参加しないのはOK! ただし機会損失の可能性も……

『こどもかいぎ』は強制参加ではなく、出たくない子の気持ちも尊重してあげたいものです。

しかし、話し合いに参加しないことで、「大切な対話の機会を失ってしまうことにもなりうる」という点は、お伝えしておきたいと思います。

映画『こどもかいぎ』の撮影中、全く発言できなかったお子さんがいました。先生はその子に聴いてみると「『かいぎ』は出たい」と言います。その後も数回、出席するものの、発言しない時間が続きました。しかし、何がきっかけになったのか、5回目くらいの参加でようやく言葉を出せるようになり、その後は、蛇口をひねったように言葉が溢れてきたのです(詳しくはこちらより)。

映画の舞台となった保育園では、ほとんどの子が『かいぎ』に出たがったものの、最初から最後まで興味を示さなかった子もいましたし、「いやだ」と言っていたけれど途中から参加したがる子もいたり、参加後に関心がなくなる子もいたりと、本当に多様でした。参加者の中に友達がいるかいないかによっても、また気持ちが違うようです。

大切なのは、どのような状況であっても、「子どもと対話をして、その都度、気持ちを聴く」ということではないでしょうか。

前は出たかったけれど、今日は出たくなかったり、前は出ないと言ったけど、お友達の様子を見て、出てみたくなったり、子どもの気持ちはいつもグルグル変わっていきます。ぜひ、子どもたちの声を聴いてみてあげてください。


※性別比率に関して

あまり気にしなくて良いと思います。女子の方が発言が多い傾向はありますが、女子だけで開催した方が良いとも限りません。テーマによっては男子だけ、女子だけでやってみても良いかもしれませんが、基本的には気にしなくて良いと思います。


※知ってる子・知らない子

普段から顔見知りの同じクラスのメンバーなどであれば、あまり問題ないと思いますが、例えば、縦割り年齢での開催、地域で開催する場合は、知らない子がいる可能性はあります。

これはあくまでも傾向ですが、10歳より下の世代は、お友達でない子をあまり気にしないけれど、10歳以上になると、知らない子がいることでなかなか場に慣れなかったり、発言を恥ずかしがるお子さんが出てくる傾向があるように思います。

ただし、開始前にうまくアイスブレイクをして場づくりが出来れば、多くの子どもはリラックスできるようにも思います。



■『年齢:おすすめは4歳頃からのスタート』


・言葉を話せれば誰でも!

・推奨は4歳以上。

・年少〜年長の未就学児(4-6歳)、小学生、そして中高生と、子どもの成長によって、運営方法は若干異なる可能性があります(年齢による運営の違いについてはこちら)。

・言葉を話せるようになる2-3歳のお子さんでも、時間や内容、進め方の工夫によっては可能です。



※4歳頃からのスタートをオススメする理由: 浮かび上がる子どもの可能性

特に科学的な根拠はありません!
(もしどなたかご存知であれば教えてください〜!)

ただ、子どもの対話活動である「ミーティング」を長らくされている方々は「4歳くらいから始めるのがちょうど良い」とおっしゃっていました。このくらいの年齢は、言語能力が発達し、社会意識が芽生え、相手の感情を表情から読み取ることも可能になってくるとも言われますが、一方で、多くの常識的概念がまだ形成されておらず、柔軟で自由な発言ができる時期だからだそうです。

「言葉が固まっていない時期」だけに、「こねればこねるほど、成長につながる可能性もあるのではないか」というのは、説得力があると考えています。

実際に映画『こどもかいぎ』の撮影でも、お子さんにもよりますが、十分に『かいぎ』に参加できますし、4歳くらいの子は発言が面白いですよ。

小学生から特に中学年以降は、「人から嫌われたくない」「どう思われるのか心配」などの感情から発言を躊躇する傾向が出てきますし「自分の世界」に入っていく年齢は10歳前後とも言われます。それまでに、互いの信頼関係を築く対話を繰り返し体験していることは、子どもの成長にとっても大切なのかな、とも感じます。

また、脳の成長に目を向けると、新生児から6歳頃までには、脳の重さは3倍以上にも大きくなるそうです。ところが、6歳以降、大人になるまで脳の重さの変化は1割程度しかありません。

つまり、「脳の約9割は6歳までに作られる」とも言えそうな大事な時期、「対話」という、五感からたくさんの刺激を受けて情報を取り入れ、脳で処理しながら言葉を発する経験を繰り返すことは、脳を活性化させ、子どもの成長にもプラス面が大きいのではないでしょうか。

■人数:推奨人数は5-6人


・少ない場合で3〜4人。

・内容によってはクラス全員でも可能です。

・「話しやすさ」を考え、5-6人での開催を推奨します。



< 人数の違いによるメリット・デメリット >

少人数のメリット:

発言する機会が増える、参加している全員が集中して続けやすい、一つのテーマで深く話し合える。

少人数のデメリット:

多様な意見を聴く機会が減る、決め事の場合は参加しなかった子どもが出てきてしまう可能性がある、クラスの全員が参加できない。

推奨人数のメリット:

発言する機会が十分に得られる、参加している全員が集中して続けやすい、一つのテーマで深く話し合える、それなりに多様な意見を聴くことができる。

推奨人数のデメリット:

クラスの全員が参加できない、決め事の場合は参加しなかった子どもが出てきてしまう可能性がある。

大人数のメリット:

多様な意見を聴きやすくなる、決めごとの場合は一度に決められる、内容によっては盛り上がり一体感が生まれる。

大人数のデメリット:

発言する機会が減る、聴いていない子が増える、集中力が続かない子が増える、一つのテーマで深く話し合えない、特定の子ばかり話してしまう可能性が増える、参加者全員の発言は難しい、決め事の場合に参加しなかった子どもが出る可能性がある、子どもによっては一体感に入れず疎外感を覚える。

全員参加のメリット:

多様な意見が聴きやすくなる、決めごとの場合は一度に決められる、内容によっては盛り上がり一体感が生まれる

全員参加のデメリット:

発言する機会が減る、聴いていない子が増える、集中力が続かない子が増える、一つのテーマで深く話し合えない、特定の子ばかりが話してしまう可能性が増える、子どもによっては一体感に入れず疎外感を覚える。

※いずれのデメリットもファシリテーションの仕方によって改善できる可能性があります。逆に、ファシリテーションによってはメリットがうまく発揮できない可能性もあります。


※ 豆知識: 「『かいぎ』の7人ルール」:

ビジネス界では、『かいぎ』への参加人数が7人を超えると、1人増えるごとに生産性が10%下がると言われるそうです。

特にGoogleやAppleなどでは、『かいぎ』の適正人数は6人までだそうで、Apple創業者のスティーブ・ジョブズは、ある時、当時のオバマ大統領から有識者『かいぎ』出席の打診を受けたものの、「『かいぎ』の参加者が多い」という理由で依頼を断ったと言う逸話があります。


■場所:円座できるスペースがあればどこでも


・参加者が丸くなって座れるスペース、お互いの声がしっかり聴こえる室内が前提となります。

・ただ、天気の良い日などには、公園などの屋外でも良いかもしれません。特に、天気や自然環境、自分たちが住んでいる街のことなどをトピックにする場合、アウトドアはより適した場所になりえますよね。

・どうしても椅子に座っていられない場合がありますので、そわそわの欲求を吐き出せる発散スペースがあってもいいかもしれません。ただ、その場合は、他の子どもたちの集中力低下、離脱率が増える可能性は考えられます。



※ 意外に大切なファシリテーターの座る位置

子どもたちはファシリテーターに目を向けることが多いので、その背後に人が通るような位置取りをすると、そちらに目を奪われてしまう場合があります。

また、『かいぎ』前にケンカが起きていたなど、場合によっては、主に話を振りたいなと思う子がいる場合、その子の隣に座ると、対話しやすくなるようです。


※ 地域でも『こどもかいぎ』を!

・『こどもかいぎ』は保育園、幼稚園、学校などの施設で行われることが多くなりそうですが、ぜひ、我が子とそのお友達や知り合いの子どもを呼んだりして、家や自治体の会議室、図書館などでやってみていただけたら楽しいと思います。

・ただ、有志の方によって、カフェやレストランなどで開催する場合、周りの音がうるさかったり、周りに聴かれてしまうことで萎縮してしまったりする可能性がありますのでご注意ください。



■時間帯:参加者の都合に合わせてベストな時間帯で


・内容によってはいつでも可能です。

・ただし、保育園などの施設で開催する場合、夕方前に帰ってしまうお子さんもいるかもしれません。

・朝や夕方はレポート系(『こどもかいぎ』の内容には3つの種類「RET」があります)に合うかもしれません。

・映画『こどもかいぎ』では、保育園の運営状況から、「お昼寝後」がほとんどでした。

・コロナ禍で食事中は推奨しません。

・中高生以上であれば、場合によっては何か食べたり飲んだりした方が話し合いやすいこともあるかもしれません。



■長さ:最初は数分からスタートし、20分から30分程度を推奨します


・科学的な話ではないと思いますが、子どもが集中できる時間は「年齢プラス1分」と言われる方もいるそうです(ただし、本当にお子さんによります!)。とは言え、最初は慣れずに集中力が保てないケースも考慮して、まずは数分の短い時間で始めてみるのはいかがでしょうか?

・子どもの人数にもよりますが、慣れてきたら少しずつ時間を増やし、20分から30分程度、場合によっては45分ほどの『こどもかいぎ』も可能になっていきます(ただし、「長くできるから価値がある」と言うわけではありません)。

・時間が短いと、話し合いを深める前に終わってしまったり、うまく発言出来ず、「つまらなかった」という印象を残してしまう子がいる可能性はあります。

・逆に長くなると集中力が続かないことが考えられますが、長い時間、開催して対話を深めたい場合や、一部のお子さんの集中力が切れているものの、「もっとやりたい!」と言うお子さんがいる場合は、アイスブレイクという選択肢があります(参考:「アイスブレイク」について)。



■用意する道具:特に用意するものはありません


・ただし、初めての子どもたちに『こどもかいぎ』がどんなものかを説明するために、例えば、子どもたちが丸くなって座って話しているイラストを準備して、「最初は椅子を並べるよ、ご挨拶しようね」というような流れを描いておいて、「今ここだよ」とイラストで確認しながら進めるのも良いかもしれません。

・『こどもかいぎ』の映像などを見せてあげると、より感覚的に分かりやすく場合があるかもしれません。


※『こどもかいぎ』の説明の仕方例



■その他


・子どもが話したい気分でないのに、大人があの手この手で話させるようなことにはならないように、気をつけたいところではあります。

・2〜3歳くらいの場合は、まだうまく話せない子どもたちも多いので、例えば、食べ物などの具体物を置いて「好きな食べ物は何?」と聴いてみたり、絵本を読み聴かせたりしながら『かいぎ』をしてみると、より発言が引き出せるかもしれません。
・話す内容によっては、内容に合う曲、リラックスできる音楽などを取り入れても良いと思います。



お手元に! 書籍版「『こどもかいぎ』のトリセツ」全国の書店で販売中!

TOP
ダウンロード版