送迎バスに残されて亡くなった園児について

不安だっただろうな......。
怖かっただろうな......。
暑かっただろうな......。

きっと「ママー! ママー!」って、
何度も何度も、何度も何度も、助けを求めていたんだろうな......。

この話を書いているだけで、胸が苦しいよ。

全くもってありえない!!
なんだ、この事件は!!

保育園の送迎バスに置き去りにされたことで、
5歳の男の子が熱中症で亡くなられた。

これは「事故」ではなく「事件」と言っていいよね。

(ネットでは園長の事などがたくさん書かれているようですが、
出所がしっかりしない噂レベルのものにはコメントしないようにします。
ドキュメンタリーをやっている者なので)


男の子が亡くなった事件現場は「バス」というよりも「バン」。

bus.jpeg ※事件が起きたバン

報道によると、
7人のお子さんしか乗っていない状況で、
「気づかない」なんて事は考えにくいし、

降車確認をしない、
出欠確認もしない、
お子さんが来ていないことについて、担任と園長がコミュニケーションを取っていないなど、

ありえないことのオンパレード。

命を預かっている現場で、
なんで子どもが来ていないことを確認しないの???

我が家も6年くらい娘が保育園にお世話になりましたが、
15分でも遅刻しようものなら「お休みですか?」って電話がありましたよ。

「泣いてる子に気を取られて......」という
当日の運転を担当した園長の発言があったようですが、
そんなのは保育園の日常。

全く言い訳にもならない。

もしかしたら、まだ報道されていない中に、
何か重大な事柄があるのかもしれないけれど、
もう、このお子さんは帰ってこない。。。

5歳なんて、めちゃめちゃ可愛い時期ですよ。
不可思議なことでたくさん笑わせてくれるし、
人を疑うことも知らないイノセントの塊。


「預けた」と保育園を信頼していたママは
きっと、何も疑うことなく、一日を過ごしていたはず。

忙しく働いて、一緒に働いている人と話したり、
ちょこちょこ笑ったりしていたはず。

お昼ご飯を食べながら、「今ごろ何をしてるのかなぁ?」と想像して、
微笑んだりしていたはず。

僕もいっつも想像していましたよ。
「今ごろ、保育園のお友達とどんなことしてるのかなあ?」って。
毎日、毎日、想ってました。

そんな愛する我が子が、
こんっっっっっっな無責任な扱いで、この世からいなくなるなんて......。

ママやパパ、ご家族の気持ちを考えると、

もし、これが我が子に起こったらと考えると......、

なぜ?なぜ?という気持ちが収まらない。



でもね......。



こんな時だからこそ、

一つ、皆さんにお願いしたいことがあるんです。

それはね、


「保育士さん達への信頼は失わないでほしい」


っていうことなんです。

この事件を起こしたのは、
保育をつかさどる人たちではあるけれど、

この件が異常中の異常であって、これがスタンダードじゃない。

僕は最近、保育園を舞台にした
『こどもかいぎ』という映画を作った。

「子どもたちが発言・対話できる場所を日本中に作りたい」
と願っていて、

撮影のために
断続的に約3年間、50回以上、保育園に伺っていましたが、

保育士さんたちの

子育てスキル、
見守る力、
忍耐力、
子どもを愛おしいと思う熱量の高さに、

毎回、本当に頭が下がる思いでした。

子どもの状況に関する「気づきレベル」の高さも凄かった!!

ある保育士さんが言っていたことがあります。

=======================================

「見守る」と言うのは、
単にその子をじっと見ていることじゃないんです。

その子が、今どういう状況にあって、
どういうことを求めていて、そのために何が出来るのか、ということを、
常に模索し続けることが

「見守る」と言うことなんです。

=======================================

この事件を起こした人たちには、
明らかに、この「気づく力」が足りなかった。


娘はもう10歳になりましたが、
振り返ってみると、

「子育てをしていたのは僕ら夫婦だけじゃなかったんだなぁ」、

と改めて、実感します。


こういうことがあると、
保育園などに子どもを預ける事が不安になってしまったり、
「この人たちは大丈夫?」とギンギンの色眼鏡で見てしまうかもしれない。

分かる。
分かる。

でもね......、

例えば、

虐待をする親の報道があった時なんかに、
「これだから最近の親は...」とか、一緒くたにされたら、皆さん、どう思いますか?

悲しい気持ちがしませんか?

もしかしたら、一部の保育園では、
あまり理想的ではない保育をしているところもあるかもしれない。

けれどね、

ほとんどの保育士さんが、
真面目で、力とスキルのある、子どもの命を預けるに値する方々です。

人手不足、賃金問題、モンスター保護者などなど、
様々な課題を抱えながらも、
毎日、笑顔で子どもたちに接してくださっています。

こういう時だからこそ、

大切な命を預かってくれている保育士さん達に、

感謝の気持ちを届けませんか?

子どもを預ける時に

「この園は大丈夫ですか!?」
「こちらはどんな方針でやっているんですか!?」

と詰問するのではなく、

「いつもいつもありがとうございます」

「いつも助かっています」

「こんな時だから一緒にがんばっていきましょう」

と伝えてみませんか?


保育士の皆さまへ

お子さんが犠牲になるような報道が出たりすると、
保育士さん達の肩身が狭くなることもあるかと思います。

でも、あなたたちのことを必要としている
親、子ども、家族はたくさんいます。

日本を作っているのは、皆さん、と言っても過言じゃない。

今は大変な時期かもしれませんが、
応援している人たちがたくさんいると言うことも、ぜひ知ってください。


亡くなられた冬生くん(享年5歳)に
心からのご冥福を祈ると同時に、

二度とこのようなことが起きない
取り組みがなされる事を切に願います。


皆さんは今回の報道、どう思いましたか?

監督・父
豪田トモ

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