うまれる ずっと、いっしょ。|映画『うまれる』

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うまれる ずっと、いっしょ。

【取材】いつか一緒に。。。

先日、児童養護施設出身の女性にお話を伺いました。

現在、大手の出版社で働いているYさん(36歳)は、
幼稚園に通っていた頃までは、ごくごく普通の家庭で育ち、

両親と3姉妹の5人暮らしでした。

親に愛され、楽しい思い出がたくさん残っています。

しかし、Yさんが小学校2年生の時に、父親が病気になり、
半身不随になってしまった事から

運命の歯車が狂い始めました。

その後、父親は働けなくなったために生活保護を受けるようになっただけでなく、
当然の事ながら、介護も必要になりました。

その頃からです。
両親の不仲が顕在化し始めたのは。

喧嘩が絶えず、家庭内別居のような状態になり、
そして、Yさんが中学生の時に、

両親が離婚。

親の喧嘩を見るのは本当に嫌だったと、
Yさんは述懐します。

Yさんは

【いつも父親の悪口を言っていた母親に不信感】

を持つようになってしまったため、
本心では3姉妹で優しかった父親についていきたいと思ったものの、

父親自身に身体的・経済的な問題もあったため、
1番下の妹だけ父親のところに行き、

Yさんと下の妹の2人は、
母方と暮らすことになりました。

この決断をYさんはいまでも後悔しています。

と言うのも、
独り身になった母親は、寂しさを紛らわすためか、
次々と男性とつきあいはじめ、

【娘たちの育児はほぼ放棄をするようになった】

からです。

いわゆる「ネグレクト(育児放棄)」で、
まだ

=============================================
中学生と小学生だった2人の娘に、
わずかばかりのお金をおいて、1週間、2週間と
帰ってこなくなった
=============================================

のです。

映画「誰も知らない」と全く同じ展開です。

姉妹2人で、何とか生活をしていましたが、
食べるものもなく、ガリガリに痩せていきます。

「学校の給食が唯一の栄養補給」

のような日々もありましたが、

【一番辛かったのは夏休みで、とにかく食べるものがなかった】

といいます。

言葉の暴力も多く、男性と喧嘩をした後には必ず

「お前たちなんていなければよかった」

と言われていたそうです(いわゆる「心理的虐待」の範疇になります)。

そして、とうとう、母親のネグレクトを母方の家族が気づき、
中学生であまり手がかからないだろうという事で、
Yさんだけが母の姉の家に預けられるようになりました。

・下の妹は母親の元に、

・一番下の妹は父親の元に、

・そして自分は母親の姉の家へ、

まさしく【家族はバラバラに】なりました。

少し前には全く想像もしていなかった事態です。

残された妹が心配だったものの、母親の姉の家に預けられた事で、
衣食住は何とか提供されたYさんは、

「助かった。。。」

と感じたと言います。

しかし、それも長くは続きませんでした。

最初の1ヶ月ほどは可哀想だと気遣ってもらえましたが、そもそも、
母のことを悪く思っている姉家族。

次第に冷たくあしらわれ、疎ましく思われるようになり、
居場所のない、辛い日々を過ごすようになっていきます。

そんな毎日から救ってくれたのが、
当時の学校の先生でした。

あまりにひどい生活を見兼ねた先生が、児童相談所に相談をしたのです。
そして

「ネグレクトによる児童虐待」

という判断が下り、

児童養護施設で暮らす事になりました。

それ以来、母親には一度も会っていないようで、
また、会いたいという気持ちも、残念ながら、いまのところないようです。

母と生活していた下の妹は、さらにひどい状況に置かれ、
結局、別の児童養護施設に行く事になりました。

(ただし、その事は後で知ったので、
妹の状況が心配で心配で仕方なかったようです)。

当時は、児童養護施設という、よく分からない場所に行くこと自体、
Yさんはイヤで仕方ありませんでした。

しかし、母の姉家族はYさんに出て行って欲しいと思っているし、
自活する力のない中学三年生。

結局、行く場所がないから仕方ない。。。と、
沈んだ気持ちで家を後にします。

しかし、施設に入ってすぐ、行って良かったと思うようになりました。

何といっても、

・自分自身の身の安全が保護されている。

・しっかりと食事を取ることができる。

・寝ることができる。

・お風呂に入ることができる。

普通の中学生が当たり前のように提供されるべき環境が
児童養護施設にはありました。

とは言え、施設で暮らせばすべての問題が解決するわけではなく、
その後も、精神的に様々な辛いことが重なりましたが、

Yさんは

「死んでしまいたい」と考えたことはなかった

ようです。

このような環境で生まれ育つと、
「人生をリセットしたい」という思いに駆られがちですが、

彼女に「自殺」という選択はありませんでした。

また、このような状況の場合、

「グレる」か「ひきこもる」

という子どもが増えるようですが、
Yさんはどちらにもならなかったそうです。

僕が感心してその理由を尋ねてみると、

「2人の妹がいたから」

だと言います。
自分の

・味方

・居場所

・存在価値

があったからこそ、
過酷な環境であったにも関わらず、道を踏み外す事がなかったのです。

離れて暮らす2人の妹、
そして愛する父親の4人と、

いつか一緒に食事をしたい、

いつか一緒に暮らしたい、

この目標に向かって、Yさんは真摯に毎日を生活する事を選びました。
すごいですね。

当然、怒りや焦り、不安や失望のようなものは、常に持っていたようですが、
それが表面化せずにうまく対処できていたのは、

幼い頃の楽しかった記憶と、

父親が撮ってくれていた写真の入ったアルバム、

そして、家族の存在

だったようです。

児童養護施設に入ったのが高校受験のタイミングだったため、
精神的に非常に大変だったようですが、

何とか都立高校に入学することができ、その後も必死に勉強もがんばりました。

「いつか一緒に。。。」

という目標に向かって。。。

児童養護施設は高校卒業と同時に出なければならないため、その後は、
働きながら一人暮らしを始め、
様々な奨学金制度を使い、

短大に行く事も出来ました。

何度か当ブログでも書かせていただいておりますが、

============================================================
児童養護施設出身者の大学等進学率は全国平均の77%に比べ、約1/3の23%。
入学後の中退率も全国平均15%に比べ、施設出身者は3倍の46%
============================================================

にのぼり、
児童養護施設の子どもたちにとって、

・教育を受け続ける事
・学校に通いながら普通の生活を送る事

そして

・夢を叶える事

には多大な困難がつきまといます。

Yさんが20歳になったとき、ついに夢が実現しました。

精神的にも少し余裕が出て来たところで、
2人の妹と父親に連絡をして、

【熊本で家族皆と再会をすることができた】

のです。

久しぶりに会う父親は少し老け、
妹たちは乙女になっていたそうです。

もちろんYさんも立派な大人に。。。

それから15年近く経った現在は、
2人の妹も東京近辺で暮らしているため、
頻繁に会う事が出来るようになりました。

何かあると、メール、電話で連絡を取り、
お互いに支えあっています。

幼い頃にバラバラになってしまった妹たちも、

「お姉ちゃんがいてくれて、良かったよ」

と節々に言ってくれます。

物心がついた頃から、36歳になった現在まで、
とにかく辛い日々の連続でしたが、今では

「この人生で良かった」

とYさんはおっしゃいます。
それは

「他の人に出来ない経験をした事で、
自分が成長できたから」

だそうです。

すごい悟りですね。
同じ経験をした人でもここまで感じられる方はそうそう多くないのでは、
と思います。

でも、今の大きな悩みは、

「自分自身の恋愛がうまくいかないこと(笑)」

だそうです。

Yさんのような環境で育った方はほぼ例外なく

「愛着障害」

という、
十字架を抱える事になります。

映画『うまれる』第三弾か第四弾のメイン・テーマとして考えている
「愛着障害」という概念は、

・幼少期からの成長過程において、

・何らか事情で、

・親からの無条件の愛情と認知を得られない場合、

・社会に出た後に人間関係、恋愛、結婚、子育て、仕事など

・幅広い事柄で様々な問題を抱える

事を言うようです
(細かくは若干異なりますが、僕自身の解釈も交えています)。

「アダルト・チルドレン」

「インナーチャイルド」

と呼ばれる概念とほぼ同義ですね。

僕自身も「愛着障害」を持っていた身でして(おそらく今はほぼ解消しています)、
色々なところで書かせていただいておりますが、

==============================================
映画『うまれる』の製作は、
実は僕が「愛着障害」を克服していくストーリー
==============================================

になっているのです。

★ 詳しくは書籍版『うまれる』をご覧いただければ幸いです。
http://amzn.to/1fGO0s7

さて、Yさんに戻ります。

「愛着障害」を持ってしまうと、

「親に愛されていない自分が他人に愛されるわけがない」
という無意識のプレッシャーから、

・相手の許容範囲以上に愛情や保証を求めてしまったり、

逆に、愛されるという経験をしていないために

・相手の愛情が無意識のうちに居心地悪く感じてしまったり、

・相手の愛情にうまく答えられなかったり、

・愛されようと無理な行動や言動をとってしまって
ちぐはぐになってしまったり、

【パートナーシップの形成に苦労してしまう】

事が多くあるのです
(僕も離婚経験があり、たくさん苦労しましたー)。

中学生という多感な時期に、「母親が男に走る」という経験が、
男性の性的な側面に対する無意識の嫌悪感につながっている可能性も

恋愛に影響しているのかもしれません。

また、結婚をして子どもを育てる段になった時に、

「親のようになってしまうのではないか。。。」

「自分のような子どもを産み育ててしまうのではないか。。。」

という不安が出て来てしまいます(僕もそうでした)。

※ ただし、親を反面教師とする事で回復につながる事も多々あります。

このような事から、
愛着障害を持った方は

・なかなか結婚できない

・子どもを持つ事が怖い

・子どもにうまく愛情を伝えられない

・パートナーシップをうまく維持できずに離婚してしまう

なども増える傾向にあるのですが、
実際、Yさんの2番目の妹さんも、3人のお子さんを抱えて離婚されています。

Yさん自身、大学で幼児教育を勉強していた事もあって、
これらの理論に通じていて、分かっているからこそ、不安になることがあると言います。

それを打ち消すかのように、これまではとにかく、仕事をがんばってきましたが、

今、一番ほしいものは「暖かい家族」、

だそうです。

それに向かって、「お姉ちゃん」は真摯に頑張ります。

僕らもYさんの将来を応援しています。

また、親子関係に悩みを抱えているすべての方に
エールを送ります。

あなたは一人じゃない。

そして

いつか癒される時が来る、

と。。。

監督・父
豪田トモ

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