【取材】イルカと愛情

ドルフィンスイム。

海で野生のイルカと一緒に泳ぎ、森で巨樹にふれ、

無数の星を眺める・・・。

「体験したことがある」

「いつかやってみたい!」

という方も、いらっしゃるかもしれません。

NPO法人 CROP.-MINORI-(クロップミノリ) 理事長の

中山すみ子さんは、

児童養護施設で育つ子どもたちの"心のケア"のために、

東京の離島、御蔵島に滞在して、ドルフィンスイムや

アートセラピーを体験するプログラムを行っています。

※ 児童養護施設とは、様々な理由により家庭で暮らせない子どもたちが暮らす場所

中山さんがドルフィンスイムと出会ったきっかけは、
いまから約20年近く前にさかのぼります。

男女雇用均等法ができ、女性もばりばり働けるようになった時代。

人一倍がんばらないといけない、結果を出さなければいけない、
とプレッシャーを感じながら、20代の頃はがむしゃらに働いていたそうです。

しかし、仕事のストレスからか ひどい【アトピー】に。

どの病院に行っても、
どんな薬を処方してもらっても効かなかったのに、

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ハワイで2週間、
ドルフィンスイムとヨガをしたことで、
なんとアトピーが完治。
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全く違う生き物であるイルカが近づいてきて、
目を合わせてくれて、こちらのペースで一緒に泳いでくれる。

まるで「自然の教師」。

人間とは異なる方法で「コミュニケーション」を取ってくれる
イルカと一緒に泳ぐことで、

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"溶けあう感覚"、"つながる感覚"を感じ、
「自分が地球のここにいていいんだ」という確信を持てた
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と言います。

その後、

マイアミやバハマなどを訪れ、
イルカが病気や妊娠を教えてくれたり、
自閉症の子どもたちへのケアをしている現場を体験して、

ドルフィンスイムは、
何らかの理由で心のバランスが崩れてしまっている人に、
精神的な安定をもたらしてくれるのではないか。。。。

と思うようになったそうです。

そして中山さんは、

「家族」という根源的なつながりを感じたことのない

児童養護施設の子どもたちに、

この感覚を感じさせてあげたい・・・

と思い、

ドルフィンスイムのプロジェクトを開始しました。

最初は、どの施設からも

「事故が起きたらどうするんだ」

「効果がわからない」

「イルカと泳いで子どもの複雑な心が良くなると思えない」

などの心配、不安から、なかなか受け入れらませんでしたが、
熱意がようやく実り、数年後、

1人の高校2年生の女の子をドルフィンスイムに連れていく事が出来ました。

少女は「父親に溺れさせられた」という経験がある事から、
結局、水に入る事は出来なかったようですが、

イルカと接した事で

「生きていていいんだ」

という感覚を持てるようになったそうです。

ドルフィンスイムを開始して17年。

中山さんは、これまで100人近くの施設の子どもたちに
ドルフィンスイムを体験させてきています。

夏休みを利用して、船内1泊、御蔵島3泊のスケジュール。

1回あたりの参加人数は7〜8人で
(年によって異なります)、

高校生が多いそうです。

ドルフィンスイムの効果としては、

・笑えるようになった

・学校に行けるようになった

・「誰かの役に立つ」という人間の最大の喜びを感じられた

・・・など、数えきれないほど。

旅行には、だいたい3-4人のスタッフが同行して、
子どもたちと一緒に過ごしますが、

この旅行の良いところはイルカだけでなく、

「島のおじいちゃん、おばあちゃんたち」

だと言います。

実際、子どもたちは、どこを歩いていても声をかけられるそうです。

「どっから来た?」

「何してるんだ?」

「イルカはどうだ?」

もう、「ちょっと放っておいて」って思うぐらい(笑)。

でも、
その

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「おせっかい」が「もっと自分の事を見て欲しい」と
心の底で願っている子どもたちの心を満たしてくれる
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のだそうです。

御蔵島には中学校までしかなく、
高校生になったらみんな島から出なくてはなりません。

このような事情もあるためか、島の人たちはみな、子どもが大好き。

「子は宝」

子どもたち自身が、そう、心で感じられる空間なのです。
 

愛情への渇望から、子どもたちは突飛な、時に激しい行動を取りがちですが、
島の環境は、子どもたちの心も体も安定させます。

あふれる自然と人間愛に包まれて、

「自分はひとりぼっちじゃない」

という、他との根源的な『つながり』を感じ、

それを、自分自身で人生を切り開いていくための

チカラにしてほしい・・・。

中山さんの願いです。

とは言え、

ドルフィンスイムですべてが解決するはずもありません。
あくまで第一歩。

ドルフィンスイムを体験した子どもたちの中には、

施設を出た後、

行き場を失って犯罪を犯してしまったり、

ホームレスになってしまったり

する子も、少なからずいるそうです。

児童養護施設にいられるのは、高校卒業まで。

その後は、特に支援もなく「放り出されてしまう」ため、
様々な局面で挫折を経験する機会が多いと言います。

★ 参考ブログ「【取材】児童養護施設出身者を支える渡井さゆりさん」
http://www.umareru.jp/blog/2012/10/npo-1.html

そのような路頭に迷った子どもたちを
一時的に中山さんの家に住まわせるようになったそうですが、

「気づいたら8人も一緒に住んでいた(笑)。」

ということもあったそうです。

こんな事、なかなか出来る事ではないですよね。
心から尊敬します。

この経験の後、
中山さんは、2011年、施設と里親の中間のような位置づけで、

家庭的な環境の中、少人数で子どもたちを育てる

「ファミリーホーム」

を設立しました。

「しんどくなったり、失敗したらここに来なさい」

と言える場所を作りたかったから。

ファミリーホームでは、現在5〜6人の施設を出た子どもたちと、

スタッフ5名が生活しています。

スタッフの中には、児童養護施設にいたころ

ドルフィンスイムを体験したメンバーもいます。

スタッフの一人、Kさん(28)は、

2歳から18歳までの16年間を児童養護施設で過ごしました。
施設では上下関係が厳しく、先輩に逆らうとよく殴られていたそうです。

そんなKさんにも転機が訪れます。

小学5年の時、里親家庭で暮らすことが決まったのです。
子どもを授かれなかった、とても優しいご夫婦だったそうです。

しかし、引き取りの当日、Kさんは尻込みしてしまい、
結局、その家庭に身を委ねる事は出来ませんでした。

「施設から早く出たいと思っていたのに、
環境が変わる事の方がもっと怖かった」

今でも悔やみます。

いま、Kさんはファミリーホームで小学生の男の子(8)を預かっています。

「施設でも体は成長します。
でも心の成長のためには、家庭的な環境が一番だと思う。」

それはKさんが自分自身を見つめ直し、
自分を許し、受け入れるプロセスでもあるようです。

「ここにいていいんだよ」

無条件の受容は、

人が人として生きていくうえで、

とっても大切なこと。

NPO法人 CROP.-MINORI-(クロップミノリ)さん、
そして中山すみ子さんを今後も応援させていただきたいと思っています!!!

中山さんは毎年夏に、子どもたちを連れて行くドルフィンスイム旅行を
行っていますが、かかる予算は約200万円。

毎年、寄付金と助成金に奔走しているそうですが、
もし宜しかったら、中山さんたちの活動を支援してください☆

http://www.cropminori.com/

実は僕、

ドルフィンスイムの撮影をしてみたいなー

と思っているのですが、

水中カメラを調達しなくちゃ、など予算の問題もあり(笑)

なかなかすぐには難しそうです。

でも、いつか実現したいと思っています。

監督・父
豪田トモ

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