体験談より「小さな小さな息子の重み」

2013年9月5日、16週目の定期検診で病院を受診。
初めて聞く我が子の心音、たまたま見えた性別、夫と2人、喜びの中にいました。

受診から20~30分後の事、支払いを済ませ、
院内にあるコンビニで買い物を済ませ、帰宅へ向かおうとした時の事、

歩いている最中に何かが破れたような感覚で、

一瞬で、

着ていた洋服がびしょびしょになった。

あれ?あれ?私・・・破水した??

うぅん、尿漏れかも知れないしって思いながらも、
怖くなって夫にすぐに受付に行ってもらい、
そのまま車椅子で迎えに来られ、ふたたび受診・・・。

「先生、尿漏れですか?」なんて聞いた私。

でも、先生からは、

「これは尿漏れなんかじゃないね」

って・・・。

最初は内診して、それからお腹からのエコーで確認したんだけれど、

「羊水がもう少ししか残ってないね。」

って。

羊水がないって聞いた瞬間から、先生に何を言われた訳でもないのに、
涙がポロポロとこぼれ出して来て、すぐに夫も診察室に呼ばれ、説明が始まった。

この時期の破水では赤ちゃんが育たなく駄目になってしまう事、

破水してしまった事で、私に細菌感染のリスクが出て来る事、

例え奇跡が起きたとして、お腹の中で赤ちゃんが生きられたとしても、
肺が育たなくて生まれた時に障害を持ったり駄目になってしまうって事

を言われた。

私がずっと泣いているものだから、
先生は今後の説明は後にしましょうって言ってくれて、
入院病棟へ案内され、そのまま入院になった。

今後の事って??

怖くて聞けない、聞きたくない。

それでも、その日の夜には説明が始まって、

明日の夜から赤ちゃんを外に出してあげる為の処置をしますって言われた。

処置って何?

赤ちゃんを外に出す?

なんで?

どうして?

赤ちゃん、ちゃんとお腹の中で心音響かせてくれてるよ?

もう生むしかないんだって分かってた、
そうしなきゃならないんだって頭じゃ分かってた。

それでもまだ一緒にいたい、
お腹の中で一緒に過ごしたいって思って苦しかった・・・。

泣いて、泣いて、泣いて、いっぱい泣いたけど、時間は止まってくれなくて、

9月6日の夕方から子宮口を開かせる処置が始まってしまったんだけど、

先生が言うには少し開いていたらしい。

痛みが来ますよって言われた通り、お腹に痛みが来始めた。

お見舞いに夜、来てくれた友人達に、
夫に頼んでもらい寝付くまで一緒に居て欲しいと頼んだ。

不安で、怖くて、たまらない夜だった。

赤ちゃんを外に出す、生むと言う事は赤ちゃんの心臓が止まると言う事。

どうして動いている心臓を止めなきゃならないの?ってそればっかりだった。

私が、私の赤ちゃんを殺してしまうような感覚の中にいた。

我儘を言って、何度も、何度も、心音を聞かせてもらった。

心音を聴くとまだ生きてる、ちゃんと生きてるって思う反面で、
これを聞けなくなるって言う怖さ。

1度は寝付いたものの、すぐに起きてしまって、
先生や看護師さんがついててくれた夜だった。

9月7日、子宮口が少し開いて来たので、朝の9時ちょっとに陣痛促進剤を入れた。

たぶん、2~3回は促進剤を使うようだからって言われてたのに、
入れて30分くらいで陣痛が来た。

最初は生理痛くらいの痛み、でもそれがどんどん激しくなっていく、
どんな体勢をしても痛い、言葉を発するのもやっと・・・。

あっと言う間に陣痛の感覚が狭くなって、何かが出て来た感触。

助産師さんが2名、先生が1人来て、確認の為に1度夫が部屋の外へ出された。

けれどすぐに夫が呼ばれ、そのまま出産が始まってしまった・・・。

まだ生みたくないよ・・・

けれど、私がこの子にしてあげられる、

最初で最後の事なんだって思ったら、自然と頑張れる自分もいた。

いきんで下さいって1度言われただけ、

赤ちゃんが自分の力で自ら出て来てくれたような感じだった。

産声の聞けない、

静かな静かな悲しいお産。

2013年9月7日、AM11:49分、

身長17cm

体重128g

16周6日目の、小さな小さな男の子の赤ちゃんを出産。

私が感じた感触はへその緒で、赤ちゃんは足から出て来てしまい、

生まれ出た時にはもう心臓は動いてなかった。

少しで良い、ほんの少しで良い、

生きている間に赤ちゃんを抱きたいって願っていたけれど、
その願いすら叶わなかった・・・。

出産後、すぐに赤ちゃんを綺麗にしてくれて、ベッドの横に連れて来てくれた。

生まれて初めて感じる、愛しいって気持ち。

夫にも、私にも似てる、可愛い可愛い赤ちゃん。

抱っこしたらまだ温かかった・・・。
最初で最後の、この子の温もり。

陣痛が始まる前のエコーではしっかりした心音をまだ響かせててくれてた。

先生が言うには、出産の時にへその緒が先に出てしまった事で、
亡くなってしまったんだと言ってた。

人と人を結びつけてくれますようにって願いを込めて、結人(ゆいと)って名づけた。
名前をいろいろ考えてあったのに、出会った瞬間、この子は結人だって感じた。

翌日、退院予定だったのだけれど、
当初言われた細菌感染を起こしてしまい、退院が長引いた・・・。

でも、その御陰で火葬の日まで赤ちゃんと一緒に過ごす事が出来、
何度も何度も抱かせてもらった。

冷たくなった我が子、

眠ってるようにしか見えない我が子、

可愛くて可愛くてどうしょうもなくて離れたくない、

まだまだずっと一緒にいたいって思ってた。

だけれど
お別れの日も待ってはくれない、9月10日、火葬の日はやって来た。

私が離れたくないって、強く強く思っていたせいか?

結人も同じ風に思ってくれていたのか、火葬場に向かう途中で、
原因不明の故障で車が動かなくなった。

それでも行くしかなく向かった・・・。

火葬場で小さいからお骨も残らないかも知れないって言われてたのに、

綺麗に残ってちゃんと骨壷にも入れてあげられた。

結人はとてもとても小さかったけれど、私には重く感じた。

この子が生きていたと言う命の重み。

凄く凄く重たかったょ・・・。

小さい体だったけれど、結人の重みはちゃんとこの手で感じたよ。

生きていたんだって、ちゃんと生きていたんだって感じたよ。

結人を生んでしばらくは、私はもう生きてたくない、死にたい、

何で私だけが生きてるの?って思ってた。

だけど、結人は私に命の尊さ、大切さを教えてくれた。

今はまだ辛い、悲しくて悲しくて苦しみの中で生きている。

それでも生きよう、生きなくちゃ、
結人の分まで精一杯に生きなくちゃって思えるようになって来た。

結人が私を選んで来てくれた事に感謝もしてる、ありがとうでいっぱい。

でもね、会いたい、抱きたい、温もりを感じたいって思ってしまう。

叶わないと分かっていても願ってしまう。

それでももう1度、結人に会いたいから生きようって、頑張ろうって思える。

結人と過ごせた時間はたったの5ヶ月、短い時間だったけれど、素敵な時間をくれた。
沢山沢山、いろんな物を残して行ってくれた。

命が宿ると言う事が、元気に生まれて来ると言う事が、

どれだけの奇跡が重なってなるのか・・・。

結人は、私にいろんな事を教えてくれた。

結人を失わなかったら、当たり前に妊娠して、
当たり前に生まれて来るものだと思ってた。

でも、

全てが奇跡なんだよって教えてくれた、

結人が残していってくれたものは、物凄く大きい。

私は結人をお空に返さなくてはならなくなってしまたけれど、
結人はきっと、お空に大事な何かを忘れて来ちゃって取りに戻ってしまっただけ。

だから、もう1度、戻って来てくれると信じてる。

結人がまた来たい、戻って来たいって思えるようなママになりたい。

どんなに苦しくても1歩、歩けなくても半歩づつでも前に進んで行こうって思ってる。

強くなったねって、成長したねって、いろんな人に言ってもらえるのも結人の御蔭だよ。

結人、本当に私を選んで来てくれてありがとう。

いろいろ検査をしましたが、胎盤検査などにも異常がなく、

何で破水してしまったのかは原因不明。

何でこんな事が起こってしまったのかは、永久に迷宮入りだと、

もう神様にしか分からないと先生には言われてしまいました。

原因が分からないって納得も出来ず、どう受け入れて行って良いのかも分かりません。

それでも時間が解決してくれる、いつかきっと立ち直れる日が来ると信じてます。

先月、私が体験した経験です。
感情のままに長々と書いてしまって申し訳ありません・・・。

=========================

★ 映画『うまれる』の体験談より
http://www.umareru.jp/experience/

★ 「天使ちゃんの物語」に関するブログはこちら
http://www.umareru.jp/blog/cat62/

【皆さまの体験談を募集しています!】

体験談を書く事を通じて自分自身に向き合う事は、
癒しのプロセスの始まりでもあり、
自分の中に新しい何かが生まれる可能性を秘めたものでもあります。

ぜひこの機に、人生で大きなインパクトを残した体験や、
今まさにインパクトを残しているご経験を振り返り、
新たな「誕生」を迎えていただければ幸いです。

体験談ページより、投稿いただけます!

spacer
image

カテゴリ

spacer
image
spacer
image

月別 アーカイブ