映画『うまれる』自殺対策宣言文(ロングバージョン)

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自殺対策宣言文ロングバージョン
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皆さま、こんにちは。
映画『うまれる』の監督の豪田トモです。

現在、映画『うまれる』では、
2013年5月より10月までの半年間に渡り、
人と人とのつながりを通じて自殺する方を減らす「自殺対策キャンペーン」を行っております。

★ 映画『うまれる』自殺対策キャンペーン ★
http://www.umareru.jp/suicide-prevention.html

趣旨にご賛同いただいた上映会主催者様によって、
自殺対策宣言文をお読みいただく事になっております。

★ 映画『うまれる』自殺対策宣言文(朗読用ショートバージョン)
http://www.umareru.jp/blog/2013/06/post-1017.html

ただ、
映画上映前という事もあり、5分以内に終える内容にしたため、
お伝えしきれない部分がありましたので、
こちらでロング・バージョンをご提供させていただければと思っております。

なお、当文面は、自殺を考えている方およびご遺族の方へというよりも、
今後、周りで自殺する人をなくしていましょう、という趣旨で書かせていただいている旨、ご了承くださいませ。

■ 日本の自殺の現実

現在、日本国内で、自殺で亡くなる人の数は、年間、およそ3万人。
【一日、70人以上、一時間、3人以上】です。

1人が亡くなると、4~5人が遺族になりますので、
計算上、

【毎年12万人を超える人が、家族を自殺で亡くしている】

という事になります。

他国と比べると、

【自殺率は、アメリカの約2倍、イギリスの約3倍】。

また、

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15歳から34歳の若年世代の
死因の第一位は、自殺
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です。

日本は先進国の中で自殺率が最も高いため、
物質的な豊かさとは、違った問題が潜んでいるようです。

皆(みな)、お母さんのおなかから生まれた時は、
たくさんの夢と希望があったはず。

なぜ、このような事態になってしまったのでしょうか?

昨年(2012年)、日本政府が策定した「自殺総合対策大綱」では、

(1)自殺の多くは、自ら望むのではなく、追い込まれた末の死
(2)自殺は防ぐことができる社会的問題
(3)誰にでも起こり得る危機

という基本原則が示されました。

私たちに出来る事は、何なのでしょうか?

■ 自殺に至る4つの主因

長年、自殺対策の活動をされているNPO自殺対策支援センターライフリンクさんによると、
自殺に至る原因となりうるものは、約70項目にのぼるそうですが、
主な理由は、次の4つに絞られます。

【1. 健康問題】

・ウツになり、生きる意味を見いだせない。
・大病や大怪我などによって身体が以前のように動けない。
など。

【2. 経済・生活問題】

・生活するためのお金がない。
・たくさんの借金を返せない。
・事業に失敗してしまった。
など。

【3. 家庭問題】

・親子間・夫婦間の不仲
・家族との死別
など。

【4. 労働問題】

・失業・解雇
・職場の人間関係
・転職・配置転換・昇進など職場環境の変化
など。

その他、男女問題や、若年層では学校問題などがありますが、
【自殺に至るまでには様々な要因が絡み合う】ようです。

例えば、

・身体的疾患から休職

失業し

生活苦になり

多重債務を抱え

うつ病になり

自殺

・子育ての悩みから

夫婦間の不和につながり

うつ病になった末に

自殺

など、ほとんどの場合、
3つ〜4つの事柄が重なってしまったと言われています。

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自殺で亡くなった人のうち、約70%は亡くなる前に
病院や行政などの専門機関に相談していた
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そうです。

自殺で亡くなった人の多くは、
実は、最後まで自分の抱えている問題を何とか解決しようと
「生きる道」を模索していたというのです。

「死にたい」と「生きたい」のはざまで葛藤しながら、
でも十分な支援を受けることができずに亡くなっていった人、
亡くなっていく人が、大勢います。

sawaton&tomo.jpg

※ 澤登和夫さんと豪田トモ

■ 自殺未遂経験のある澤登和夫さん

自ら自殺未遂の経験があり、
現在は、うつ専門カウンセラーとして活躍されている澤登和夫さんによると、

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ビルから飛び降りた当時、
本当は生きたい気持ちもあったが、
とにかく生きているのがしんどかった
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と言います。

結婚と昇進による精神的プレッシャーと、
1日15時間以上におよぶ労働による過労などが重なり、

「うつ病」と診断された数年後、

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自分の居場所や味方、存在価値がなく、
絶望的な孤立感と無力感を感じ、死を選択しました。
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■ 自殺を防ぐために、わたしたちに出来る5つのこと

自殺を防ぐために、わたしたちに出来ることはたくさんありますが、
ここでは5つだけ、ご紹介させていただきます。

なお、
こちらは『うまれる』流に「子どもを育てる立場からの視点」
で書かせていただいておりますので、ご了承くださいませ
(別の視点からだとまた異なる対策があるかと思います)。

【1. たっぷりの愛情で子どもを育てる】

小さい頃から、自分は親に愛されている、認められている、
と感じられる事が精神的に強い子どもを作ります。

ただし、過保護になりすぎないよう、

「自分で考えて、決めさせる」
「失敗させる」

という習慣をつけるようにすると良いようです。

叩く・蹴る、子どもが怖がるほど怒鳴る、「お前なんかいらない」と子どもに言う事は、
しつけではなく「虐待」になり、将来の自殺リスクが高まってしまいますので、ご注意ください。

【2. いじめから子どもを守る】

僕自身、小学校の時にいじめに遭いました。

「あいつ無視しようぜ」

というクラス・リーダーの決定に従わなかったために、
逆に無視されるようになったのです。

それまで一緒に遊んでいた仲間が、

・声をかけても答えてくれない
・笑ってくれない
・睨みつけてくる

それ以来、人を信用するという事が非常に、非常に難しくなり、
40歳になった今でも、このネガティブな記憶が細胞レベルから
完全に消え去ったと言う事は出来ません。

また、
その時に親が僕の苦しみを真剣に受け止めてくれなかった事も、
遺恨を遺すきっかけになりました。

親は親で、どう対処していいのか分からなかったり、
自分自身で何か抱えていたのかもしれませんが、
子どもにとって、そんな事は「どうでもいい事」なんですよね。

・支えてくれたか、
・くれなかったのか、

という二元論になってしまうんです。

いじめは子どもに深い、深い傷を残し、
将来の良好な人間関係の妨げにつながってしまうという事を
僕はとてもよく分かっています。

自分または周りの子どもがいじめられていないか、また、いじめていないか、
お子さん、そして学校の先生などと密接にコミュニケーションを取っていただくと
良いかもしれません。

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いじめはなかなか発覚しにくいものですが、
子どもと一緒にいる時間が多ければ多いほど、
子どものネガティブな変化に気づきやすくなります。
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自分の子どもがいじめられている事が分かったら、

・すぐに子どもを抱きしめ
・受け止めてあげ
・「あなたは悪くない」と伝え
・感情的になりすぎず、冷静に学校と保護者に対応を求めましょう。

また、

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子どもが他の子どもをいじめるのは、
自分は親に愛されているのかという不安や
夫婦仲の悪化など家庭内でのストレス、
学業への過度なプレッシャーも大きく影響している
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と言われています。

【3. 家族間のコミュニケーションを多くする】

家族は最も身近で安心できる居場所です。
悩みを相談できる関係を築くことは、自殺対策だけでなく、
幸せに生活する上でも非常に大切なものです。

・なるべく一緒にいて、同じ時間を共有する。

・恥ずかしからずに、愛情や感謝を伝える。

・しっかりと、相手の話を聞く。

という3点が、家族間のコミュニケーションを円滑にします。

【4. 人とのつながりを強くする】

家庭内で悩みを共有しきれない方も多くいらっしゃると思いますが、
その時に助けになるのが、友人や隣人など人・社会とのつながりです。

メールや電話、フェイス・トゥ・フェイスで、
声をかけ、話を聞き、笑い合う事が、

居場所、味方、存在価値を作ります。

【5. 人の悪口を言わない】

本人にとってはちょっとした悪口でも、
受け取る側にとっては大きなショックを伴う事があります。

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不平・不満、悪口、文句を伝える事は、
人に大きな傷を残す可能性があり、
また、自分の中にもストレスの連鎖を起こします。
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不満を吐き出す事は、一時的にはストレスが減るかもしれませんが、
身体の中から大元が消えるわけではなく、
新たな、見えないストレスの種を蒔く可能性があります。

誰しもが大事な使命をもって生まれてきたかけがえのない存在であり、
必ず良いところを持っていると思うので、
それを尊重して、ご縁を大切に育てて行きたいですね☆

と言っても、
「人の悪口を言っている」という事は、
自分ではなかなか気づきにくいもの(笑)。

少し意識していただくと良いのかな、と思います。

=====まとめ: 自殺対策に向けて、わたしたちに出来る5つのこと=====

1. たっぷりの愛情で子どもを育てる
2. いじめから子どもを守る
3. 家族間のコミュニケーションを多くする
4. 人とのつながりを強くする
5. 人の悪口を言わない

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僕は、

『うまれる』ことは『つながる』こと

だと思っています。

誰しも一人で産まれ、一人で生きることは出来ません。

人は、様々なつながりの中で、活かされています。

私たちにできることは、たくさんあります。

高校生の時に父親を自殺で亡くしたお子さんは、
こんな言葉をつぶやいたそうです。

「私のお父さんは、

社会的には年間3万人の自殺者のうちの一人なのかも知れない。

でも、私にしてみれば、

たった一人の父だった」。

1人1人の命は、誰かにとっての、かけがえのない存在です。

自殺は非常に繊細で、難しい問題であり、
現在は国としても懸命に取り組んでいるようですが、

「誰も自殺に追い込まれることのない社会」

「誰にとっても生きる価値のある社会」

の一日も早い実現に向けて、

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国や地域だけに任せるのではなく、
私たちに出来ることをしていきましょう。
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長文をお読みいただき、誠にありがとうございました!!

監督・父
豪田トモ

※ 監修: 澤登和夫さま(うつ専門カウンセラー、株式会社ありがトン代表)
※ 協力: 清水康之さま(NPO自殺対策支援センター ライフリンク)

★ 映画『うまれる』自殺対策キャンペーン ★
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★ 映画『うまれる』の自殺対策宣言文ショート・バージョン ★
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