『うまれる』事を映画にしたい!と思った時

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自分は愛されているんだろうか。。。

自分は本当にこの両親の子どもなんだろうか。。。

物心ついた時から、僕はそう思っていました。
両親は不仲だった上、弟が多少の障がいを持ってうまれた事もあり、
母親は弟の事で精一杯、父親は仕事で精一杯。

だから、僕は「親の愛情」というものを、知らずに育った気がしています。

自分はなぜうまれてきたのか、

何のために生きているのか。。。

自分の存在価値がわからなくなり、結婚や子どもを持つことに、全く夢を描けませんでした。

「自分と親との関係は、きっと、自分と子どもとの関係に受け継がれる。」

「僕もまた、親の愛情を実感できない子どもを育ててしまうんじゃないか。。。」

そう考えると怖かったのです。

そんな7年前のある日。

撮影を頼まれた産婦人科医・池川明先生の講演会で

「3歳前後の子どもの30%に"胎内記憶"がある」

「赤ちゃんは雲の上で親を選んで生まれてくる」

という話を聞きました。

あまりにも非科学的でファンタジーな話。

「自分は好きでうまれてきたんじゃない」

「子どもは親を選べない」

とずっと思っていましたが、真逆の発想。
驚きと、そして何ともいえない大きな感動で、しばらく手の震えが止まりませんでした。

「自分が選んだのかも」

と考えると、

「弟のことで大変だったから、両親も大変だったはず。。
自分も本当は愛されていたのではないか。。。」

両親のことが少し理解できたような気がして、
長らく抱いていた否定的な感情が少しずつ和らいでいくのを感じました。

「うまれる」ことを映画にしたい!

この時に体の中から湧いてきた感情です。

命の原点に向き合うことで、僕自身、両親との関係を築き直せるかもしれない......。

その後、約100組のご家族、ご夫婦を取材・撮影させていただいてきましたが、
妊娠・出産のことを知れば知るほど、
そして実際に出産の現場に立ち合わせていただくたびに、

その奥深さと神秘に僕は圧倒されました。

うまれてくること、

そして

生きることは、

まさに奇跡の連続

でした。

映画づくりを始めてから、両親との関係は劇的に良くなり、
30年以上かかったけれど、やっと「家族」になれたような気がします。

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親に対して否定的な感情を抱いている人、

仲違いをしている親子、

子どもを産み育てることを躊躇している方、ご苦労されている方、

世の中には様々な葛藤をお持ちの方がいらっしゃると思います。

そんな方たちに、僕が得たようなポジティブな変化が訪れたら、

親子関係を改善できる人がいるかもしれないし、

生きる目的が分からなくなってしまった人も、

もう一度明日から頑張ろうって思えるかもしれない。。。

そう願いながら、僕はカメラを回し続けてきた「うまれる」は、
そうした3年間に出逢った人たちのドラマをまとめたドキュメンタリーです。

うまれてきて、よかった。

うんでくれて、ありがとう。

うまれてきてくれて、ありがとう。

全身の細胞全部で、そう感じていただけたらうれしいなぁと願っています。

現在、映画『うまれる』は自主上映会でご覧いただけます。

監督・父
豪田トモ

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