映画『ザ・タウン』

thetown.jpg 役者さんが監督をした作品には、良質なものが多くあります。

それは、役者さん自身が、
役者の活かし方をよく分かっているから。

最も分かりやすい例がクリント・イーストウッドだと
思いますが、

「ビューティフル・マインド」、「バックドラフト」などの
ロン・ハワード監督も元役者。

アカデミー主演男優賞を2度受賞したショーン・ペンは
「インディアン・ランナー」、「イントゥ・ザ・ワイルド」という
傑作を生み出していますし、

ティム・ロビンスやアル・パチーノ等も
非常に優れた作品を監督しています。

クエンティン・タランティーノ監督や北野武監督の作品で
役者さんが活き活きしているのは、監督自身に演技経験が
あるという事と無関係ではないと思います。

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今回、ご紹介する「ザ・タウン」を監督したのは、
ベン・アフレック。

ボストンに実在する犯罪の多発する労働者の街を舞台にした
犯罪ドラマですが、

・登場する役者さんが皆、持ち味を発揮している

だけでなく、

・よどみのないストーリー展開で観ている側を飽きさせない骨太な作品

に仕上がっています。

「ヒート」並の銃撃戦も見物です。

アフレック監督はスター俳優であるが故に、
映画人としては過小評価されているようにも思いますが、

おそらく彼は、役者としての才能よりも、
監督もしくはストーリー・テラーとしての才能の方が
あるのではないかなと思います。

マット・デイモンと一緒に脚本を書いた
「グッド・ウィル・ハンティング」は、
ガス・ヴァン・サント監督の演出によって傑作として映画史上に
残る作品になりましたが、そもそも脚本が非常に優れていました。

ベン・アフレックの監督デビュー作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」は、
傑作とは呼べないかもしれないけれど、非常に優れた演出力というか、
荒削りだけれどキラリと光るセンスを感じさせるものがありました。

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今回の「ザ・タウン」は、
(個人的には)主人公とヒロインが惹かれ合う部分と
ラストの展開だけはもうちょっと工夫が
欲しかったように思いますが、
それ以外は設定、脚本、展開、伏線、演技など

非常にハイレベルな作品です。

役者さんだからこそ描ける人物描写の鋭さを、
本作からは感じ取っていただけるのではないかな、と思います。

また、犯罪を犯す登場人物は皆、
親との関係が良くないのも注目すべき点です。

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