![IMG_2560.JPG](https://www.umareru.jp/assets_c/2015/08/IMG_2560-thumb-500xauto-6805.jpg)
ちょっと前の話になりますが、
最近経験した中で特に印象に残っているのが、
毎年、カナダのバンクーバーで行われている"ゲイ・パレード"です
(正確には「プライド・パレード」と言います)。
僕はバンクーバーに3年半、住んでいたものの、
映画製作に手一杯だったので、今年で37周年となる
このパレードを見た事がありませんでした。
今年の夏に家族三人でバンクーバーに行った時に、
ちょうどプライド・パレードが行われていたので参加してみたのですが、
感じ入るところが多々ありました。
![IMG_2555.jpg](https://www.umareru.jp/blog-img/IMG_2555.jpg)
カナダはいくつかの州で同性婚を認めている、
世界でも「先進的」な国。
プライド・パレードは、
「同性愛者だけでなくさまざまな国籍、人種、文化を尊重し、
市民がひとつのコミュニティーとして助け合い協力していくこと」
を目的としています。
毎年60万人以上の人がプライド・パレードに集まり、
スポンサーも世界的な企業ばかり。
つまり、
ゲイ、レズビアンなどのマイノリティが集まった、
こじんまりとしたお祭りではなく、
世界中を巻き込んで、自由と平等を訴えるイベントになっているんです。
具体的にパレードでは何をするかと言うと、
ドラッグ・クイーンやマッチョメンなどなど、
様々なコスチュームを着た人たちが、
車に乗って、歌って踊って街を練り歩く、
だけ、
なんです。
もちろんビジュアル的には色んな意味で見応えがありますが(笑)、
僕が感激したのが、そのコンセプト。
元々、このパレードは、当時、
特に差別の激しかった同性愛に対する「抵抗の手段」
として考えられたであろうと思うんです。
「社会問題に対する抵抗の方法」と言えば、
代表的なものは「デモ」。最悪の手段は「テロ」、ですね。
でも彼らはそういう攻撃的で暴力的な手法ではなく、
「歌って踊って練り歩く」
という、実に平和的で娯楽性溢れるアイデアで、「抵抗」を示したんです。
このコンセプトは、すごい!
原発にしろ、戦争にしろ、児童虐待にしろ、
社会をより良くしていくための反対の意思表示として、
「歌って踊って練り歩く」
という手法を使ったのは、
このプライド・パレードが最初なのではないでしょうか?
![IMG_2551.jpg](https://www.umareru.jp/blog-img/IMG_2551.jpg)
同性愛者に対する差別というのは、
頭で理解しているよりも激しいものがあったと思います。
リンチに遭う事もあれば、家を破壊されたり、
職を奪われたり、家族から断絶されたり、
社会から追われ、片隅でひそかに息をせざるをえなかった人々。
僕も同性愛者の方々に取材させていただいた事がありますが、
「なぜ産まれてきたんだろう?」
「どうして生き続けなければならないんだろう?」
「神様は自分に何を求めているんだろう?」
と常に向き合い続けなければならない。
そんな、どん底にいる人たちがひねり出した妙案、
それがプライド・パレードなわけです。
ダンスナンバーに揺られながら、
眩しいくらいに輝く虹色の服を堂々と見せて歩く、
自分たちが産まれて来た意味・理由を
プライドを持って見てもらう、見せつける、
その心意気
行動力
クリエイティビティ
に、実は涙が出そうになるくらい僕は感動しました。
僕に抱っこされていた娘の詩草(しぐさ)は
「面白い格好をしたお兄ちゃんとお姉ちゃん」の楽しそうな姿を
無邪気に眺めていました。
彼らの想いや意義というのは、詩草には伝わらなかったかもしれないけれど、
でも、人と違う格好をして堂々としてもいいんだ、というような事は伝わったかもしれない。
「みんな違ってみんないい」
そこまで伝わってくれてたら嬉しいな。