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良平、
あなたが生まれてきた日
お母さんは本当に大変だったのよ。
前の日に「なんちゃって陣痛」が来て入院して、
出産の準備が全部できた途端に陣痛が消えて・・・
お母さんは病院の階段を登ったり降りたり必死になって。
夕方には疲れきって「家に帰る~~」と駄々をこね、
お父さんに連れて帰ってもらったのよ。
翌日の朝方、今度は本物の陣痛が来て病院へダッシュ!
朝9時、あなたは元気に生まれてきた。
1歳になるまで、夜は泣きぐずりが酷かったよね。
お母さんが抱っこしてればスヤスヤ眠るのに、
そ~~っとお布団におろすと泣いて起きてしまって・・・
眠れないのは辛くても、あなたへの愛は濃くなる一方で、
お姉ちゃんとあなたの二人の子供がたまらなく愛しくて、
毎日が幸せで幸せで・・・・
家族で出かけてカメラを忘れたとき、
「心のシャッター!カシャ!!」って
お姉ちゃんと二人できれいな景色を見つけるたびに
楽しそうに、心のカメラで写していたね。
お母さんの心のカメラにも
あなたの姿がいっぱいいっぱい写ってる。
にこにこ顔の良平が一番多い?
ううん、お母さんのアルバムには
泣いてる良平のほうが多いかもしれない。
生まれてからの1年間、小さかった頃の泣き虫の良平。
お母さんにしがみついて泣いてる姿。
どれもが愛しい思い出のシーンだよ。
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あなたはいつもお母さんの側にいてくれた。
買い物に行っても荷物を全部持ってくれようとして
小さいからだがヨタヨタして(笑)
「お母さんが持つから」って言っても
「大丈夫!!」って頑張ってくれてたよね。
叱られたこともいっぱいあったね。
お姉ちゃんと二人で喧嘩して、言う事を聞かなくて
「あなたたちがそんな子になってしまったのは
お母さんの育て方が悪かったのね、だから
お母さんは失格だから出ていきます」って、
お母さんが家を出ようとしたら大泣きして
「ごめんなさい~~~~!!!!行かないで!!!」
ってお姉ちゃんと二人で必死にお母さんをつかんで。
自分が悪かったと反省もしてくれたけど、
そのあとに言った言葉でお母さんはズッコケちゃったよ。
「お母さんがいなくなったら誰がご飯作るの?」
私は、まかないのおばさんか!って突っ込みたくなっちゃったよ
友達と出かけて、帰りに迷子になって、
待てども帰らないあなたを案じて
そろそろ警察に届けようかと思った頃
とんでもないところの食堂に保護されてて、
電話であなたが無事だと聞いたときの家族の大喜び、
あなたに見せたかったな。
お姉ちゃんなんか、心配しすぎて怒り狂ってたし
迎えに行ったら、大人に囲まれてお茶を飲んでて
それでも、お母さんの顔見たらグシャって顔が崩れて
「お母さ~~~ん!」
って飛びついてきて
やっぱり大泣きしてたね。
「あらあら、今まで泣かずに頑張ってたんだね」
食堂のおばさんやおじさんが笑顔になって、
たくさん褒めてもらってたけど、
お母さんの腕の中のあなたは泣きじゃくっていて、
やっと泣き止んだ顔を見たら結構泥で汚れてた。
迷子になって必死に歩いて、必死に家を探してたんだね。
今でもあの食堂の前を通ると
胸がぎゅ~って苦しくなるよ。
元気で飛び回っていた頃のあなたの姿が浮かぶから。
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病気になってから、あなたは泣かない子になった。
どれほどの我慢と、どれほどの決意を持っていたのだろう。
でも、家族やスタッフを心から信じてもいたんだよね。
いつも家族で一緒だったね。
どんな時でも一緒だったね。
最期の最期も、一緒だったね
良平
この間、クリスマス会に行ってきたよ。
西東京のパーフェクトファミリーメンバー主催のパーティー。
作曲家のY下先生が「是非良平と参加してください」って言って下さって。
家族全員で参加させてもらったよ。
最後にY下先生が
「良平と、みんなの未来に乾杯!!」って閉めて下さったの。
そう、良平
あなたの未来にって。
お母さんはとっても嬉しかった。
クリスマス当日は、那須でTAYUTAのライブをやったよ。
良平が大好きだった那須のキャンプ場で
極寒の中なのに、大盛り上がりで!!
TAYUTAのみんなが「良平が来てた!」って。
スタッフのKちゃんも「良平いたね!!」って。
あの寒い北風の中、「ライブ中だけ風を止めて」って、
あなたの写真を空に向けたら
本当にピタ!っと風が止んで驚いた!!
良平
あなたの命はこうやって
脈々と、あらゆるところで生き続けているよ。
これからもそれは変わらない。
私たちはずっとずっと、良平が生きた証を、
生き続けている証を伝え続けていく。
それがきっと、誰かを生かすことになると願って。
あなたが望んでいたように、
「死なないで!」
といろいろな人に伝えていけると信じている。
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良平
お母さんはあなたのお母さんになれたことを
心から誇りに思っているよ。
あなたが生まれてきてくれたこと、
たくさんたくさん愛させてくれたこと、
今でもこれからも愛し続けていけること
心から、心から感謝してるよ。
私の子供になってくれてありがとう!
お母さんは毎日あなたを思って泣いています。
あなたに会えないこと、
あなたのぬくもりに触れられないこと、
あなたの声が聞こえないこと、
あなたのお世話が出来ないこと・・・
我が子を亡くすという
信じられないほどの苦しみと痛みと辛さの中で
泣かない日は一日もありません。
胸を掻き毟って号泣する日もある。
何故あなたがいないのか、意味が分からないって、
どんなに考えてもあなたが逝ってしまったことが理解できなくて、
毎晩寝る前には苦しくてたまらない。
この辛さ、寂しさ、苦しさは
きっと一生かかっても消えないのだと思います。
私が90歳になってもきっと消えない。
きっと泣いている。
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それでもね、良平
お母さんは毎日「笑って」もいるんだよ。
たくさんの友人達が一生懸命心を寄り添わせてくれて。
家族がみんなで助けあって。
お姉ちゃん、兄ちゃん、おじいちゃんおばあちゃんも、
みんなが「笑って」暮らせている。
良平
お母さんたちは不幸じゃないから心配しないでね。
泣いてるけど、辛いけど、苦しいけど
寂しくてたまらないけど、決して不幸じゃない。
強がりじゃないよ。
不幸は、不幸になりたい人にしか訪れない。
あなたの母で幸せ。
お姉ちゃんの母で幸せ。
この家族で幸せ。
友人たちに恵まれて幸せ。
本当だよ。
だからお母さんは毎日「笑って」もいられる。
泣くけど笑える。これでいいんだって思える。
いつかあなたの所へ行ったときに
恥ずかしくない人生を生きるよ。
「お母さん大好き!」
ってまた言ってもらえるように、
しっかり生きるよ。
あなたの元へ行く日が楽しみ。
もう少しばかり先のことだけど、いつかその日が来たら
迷わないように案内してね。
ありがとう良平
ありがとう
ありがとう
ありがとう
百万遍言っても言い足りない
愛してるよ良平
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守本良平くんは14歳の時に急性リンパ性白血病と診断され、
約6年後の2010年10月5日に病との闘いを終えて旅立ちました
(ちなみにその時は映画『うまれる』公開まで約1ヶ月で、妻の朋子は臨月でした)。
許可をいただいて、良平くんのお母さまのお手紙をご紹介させていただきました。
改めて、大切な人と大切な時間を過ごす大切さを伝えてくれます。
また、
良平くんの闘病記「僕で良かったんだよ」が昨年、書籍になりました。
宜しければこちらよりよろしくお願いいたします。
http://goo.gl/EXDAsP
監督・父
豪田トモ
★ 手紙のフル・バージョンは以下より
http://blog.livedoor.jp/ryouhei0969/archives/51806103.html