映画『ママをやめてもいいですか!?』公式HPへ→


赤ちゃんを迎える時、ママはこれからの幸せな毎日を想像することでしょう。
たしかに、赤ちゃんは可愛い。

でも、子育ては「可愛い」だけでは成立しません。

なぜだか泣き止んでくれない、おっぱいを飲んでくれない、寝てくれない、そして自分も眠れない……。

「良いママになりたい!」という気持ちとは裏腹に、子育てには思い通りにいかないことが多々あり、その上、夫は大変さをよく理解してくれず、何だか孤独を感じることも……。


※ 映画『ママをやめてもいいですか!?』より

あるママが、

「産後のママは"仮免許"状態。何でもかんでも完璧には出来ない」

と言っていました。

たとえオリンピック選手だって、初めてその競技に触れた時は、あまり上手くは出来なかったはず。そしてオリンピック選手だって、本番で失敗することだってあるんです。


上手くいかない子育てに、不安を感じたり、苛立ったり、泣きたくなったり、落ち込んでしまったりすることは、決してあなただけではありません。自分を責める必要は全くないんです

でも、もしママの不安や気持ちの落ち込みが深刻化して、産後2週間が経っても続いてしまうようであれば、「産後うつ」である可能性も出てきます。


最近はメディアの影響で「産後うつ」という言葉は知られるようになってきましたが、「産後うつ」の定義や原因、予防や対処法などは、実はあまり知られていません。

そこで、このページでは、ドキュメンタリー映画『ママをやめてもいいですか!?』の製作で約2年半、産後うつや孤独な子育てを取材・撮影してきた知見から、「産後うつ」について、出来る限り、様々な点について解説したいと思います。


ただし、僕は医療従事者ではありません。
医療的な観点については監修をしてもらっていますので、間違った情報は掲載されていないと思いますが、もし「正確な医療情報」をお知りになりたい場合は、以下のページをぜひご覧ください。

→MSDマニュアル 産後うつ病


逆にこのページでは、医療者ではないからこそ、医療的な観点に縛られすぎず、クリエイターとして気づいた点や提言についても書かせてもらっています。子育てにがんばるすべての方々の参考になれば幸いです。


監督: 豪田トモ



医療監修: 一般社団法人 産前産後ケア推進協会 代表理事 市川香織(助産師)




産後うつって何?

一般的に「産後うつ(産後うつ病)」とは、分娩後の数週間、ときに数カ月後まで続く極度の悲しみや、それに伴う心理的障害が起きている状態をいいます。 多くの場合、日常生活の中で今まで出来ていたことが出来なくなるなどのうつの症状や(例えば、「症状」の項目に書いてあるような、理由もなく、気分の落ち込みや不安が続いたり、気持ちが不安定になるなど)、食欲がわかないなどの身体症状が出てきます。


※ 映画『ママをやめてもいいですか!?』より

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産後うつになるとどうなるの?

産後うつと言っても、ひとりひとり症状が異なりますが、一般的には以下のような症状が現れると言われています。

<精神的な症状>

・気分が落ち込む・憂鬱な気持ちが続く。
・急に悲しくなったり不安になったりする。
・精神的な余裕がない。

・イライラやムカムカが止まらない。
・育児に自信がないと過度に悩む。
・ネガティブな思考ばかりしてしまう。
・様々な物事にうまく対処できない
・集中が続かない。
・将来に対する希望がないように思えてくる。
・家事・育児に対する意欲が低下する。
・何に対しても興味や関心を持てなくなる。
・外に出るのが億劫になる。
・子供が可愛く思えなくなる。
・赤ちゃんのお世話をすることや赤ちゃんに向き合うのがしんどくなる。
・育児に過度に神経質になる
・もしくは無関心になる。
・周りへの信用が低下する。

<身体的な症状>

・身体がだるい
・いつも疲れている。
・よく眠れない。

・食欲が湧かない
・逆に食べ過ぎてしまう。
・涙もろくなる。
・表情がない
・笑顔がない
・喜怒哀楽の表現がうまく出来ない。
・口数が少ない。
・何を言っているのか分からなくなる。
・話しかけられても反応が鈍い、ボーっとしている。
・ため息ばかりついてしまう。
・周り(パートナーや子ども等)にきつく当たってしまう。
・お皿を割るなど身近な何かを投げつけてしまう。
・胃が痛い。
・便秘や下痢が続く。
・嘔吐してしまう。
・円形脱毛症などの脱毛がある。
・アトピーやじんましんが出る。
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topics1
〜産後うつ体験談〜

『とにかく延々と続く孤独感……』

私の場合は夫婦で親元を離れ、近くに親類はおりませんでした。夫婦で力を合わせていかねばならないのに、夫婦間のすれ違いもだんだんに重なっていき、満たされた気持ちになることはありませんでした。親としても、一人の人間としても、延々と続く孤独感。孤独、孤独、孤独、孤独、孤独……という感じでした。


誰も私を助けてくれない

例え、自分が死んじゃったとしても、いま、踏ん張るしかない。いま、我慢するしかない。そんな繰り返しから、夕食後、洗い物をしている時に、ブラックホールに吸い込まれていくような感覚に陥るようになり、崩れ落ちそうになる毎日が、産後2年ほど続きました。


母乳が出なくて辛かった

一人目のとき出産に時間がかかり、母乳がなかなかでなくて、「母乳が出ないお母さんは元々病気の人だ」と勝手に思い込んでいたので、衝撃的でした。子供の体重も全然一人目のとき、母乳がなかなかでなくて、「母乳が出ないお母さんは元々病気の人だ」と勝手に思い込んでいたので、衝撃的でした。子供の体重も全然増えないし、実母は「ミルクを使わないで母乳でがんばれ」と言うし、自分もそれが良いと思い込んでいました。


思い描いていた出産とは程遠く、毎日とにかく泣いてばかり

初めての出産の時、緊急帝王切開での出産になり、我が子は両手のひらに乗ってしまうほど小さく、NICUに入院……。思い描いていた出産とは程遠く、なにがなんだか訳がわからなくなってしまい、毎日とにかく泣いてばかりいました。


幸せと思わなきゃ嘘だ!と言われて追い詰められました

初めての育児にとまどい、不安や大変さなどを夫に伝えると、「結婚もできて、子供も生まれたのに、幸せと思わなきゃそんなの嘘だ!」と言われたり、友達にも「みんな大変なんだよ!」と言われてしまったり…。


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産後うつとマタニティ・ブルーって違うの? 実は全然違います!!

「マタニティブルー」という言葉もありますが、こちらは産後うつとは異なります。

「マタニティブルー」は妊娠・出産に伴うホルモンの劇的な変化が原因と言われ、産後、一時的に気分が落ち込んだり、理由もなく悲しくなったりすることがありますが、長くとも産後2週間ほどで治ります。多くのママが経験するもので、あまり心配することはありません。

しかし、産後うつは、産後2〜3週間が経った後でも気分の落ち込みが継続し、日常生活に支障が出る心の病気のひとつです。

「産後うつはホルモンが原因で誰でもなりうる」と誤解すると、症状を悪化させ、治療に必要以上の時間を要してしまう可能性があるので注意してください。

また、「産後」だけでなく、その後もうつ状態が続く場合は「子育てうつ」と呼んでも良い状態と言えるでしょう。

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どのくらいの人が産後うつになるの?


◎約10%のママが産後うつになる!

およそ、産後女性の約10〜15%が産後うつにかかるとのデータがあります。つまり、10人に1人のママが産後うつになると言われているのです。
(平成25年度厚労科研「「健やか親子21」の最終評価・課題分析及び次期国民健康運動の推進に関する研究」(山縣然太朗班)より)


※ 映画『ママをやめてもいいですか!?』より


◎約70%超のママが育児ストレスを感じている!

オウチーノ総研の『子育て』に関するアンケート調査によると、「『育児ストレス』を感じたことはありますか?」という問いに、「頻繁にある」という人が28.9%、「時々ある」という人が42.9%と回答。両者を合わせると、71.8%が、「育児ストレス」を感じているようです。

男女別では、「育児ストレス」を感じているパパが59.5%、対してママは84.0%と大きく差が開き、育児の負担はママに偏りがちです。

※オウチーノ総研「『子育て』に関するアンケート調査」より


◎『ママをやめてもいいですか!?』と思ったことのあるママは77%!

また、私たちが取材の一環として集めたアンケートでは、『ママをやめてもいいですか!?』と一度でも思ったことのあるママは77%となり、約8割のママたちが産後うつ・子育てうつの入り口に立っていると思われます。



◎ママの死因のトップは自殺

あまり知られてはいませんが、現代日本の妊娠・出産期のママの死因のトップは自殺です。少し前の調査になりますが、2005年から14年の10年間に、東京都の妊産婦が63名自殺していることがわかりました。これは、出産数に占める割合で考えると、出産時の出血などによる妊産婦死亡率の2倍にあたります。
毎日新聞2016年4月24日 東京朝刊より

かつては、出産時に母親が亡くなるケースが多く、明治時代の女性の死因では2位にあがるほど、「出産」というものは命がけの行為でした。

それが産婦人科や助産師、医療従事者の方々の不断の努力と医療技術の進展によって、近年では出産で亡くなる人が、世界でも最も少ない部類に入る、年間40〜50人ほどに減りました(それでもまだ多いと思われるかもしれませんが……)。

一方で、先に触れたように、産後の自殺で亡くなる方が、出産時に亡くなってしまう人以上に多いことが明らかになってきたんです。

この事実が、特に医療従事者の間で注目を浴びるようになり、ママたちの苦しむ声とともに、メディアもとりあげるようになってきた、という流れがあります。

また、「少子化」や「個人情報保護」などの時代背景も、「産後うつ」に影響していると思われますが、こちらは後述します。


『ママをやめてもいいですか!?』と思ったことのあるママたちのコメント

・自分の体や心が疲れているときに、子どもにギャーギャー泣かれると、ママをやめたい、お休みしたい……と思ってしまいます。


・やっと片付けたおもちゃや本を一瞬で元の状態に直してくれた時、人前で大声で泣き叫ばれた時、もうお母さんやめたくなる。


・ふと、子育ては子供たちの命を預かっているんだと思い恐ろしくなったとき、「まともな大人に育てなくては」との思いが重責となってのしかかった時。


・仕事後、娘を保育園にピックアップ、帰ってごはんを作って……と、帰宅後ちょっとでも座る時間もないのに、娘がわがままを言い、対応に疲れきってる横で夫が携帯ゲームをしながらめんどくさそうな顔をしていると、「ママ辞めます」って思わず思います。


・ワンオペ生活の中でトイレの時間も自由になれないと感じたとき。でも、そう思う瞬間の後に、そう思ってしまう自分に嫌悪感や罪悪感を感じ、更に自分で自分にストレスをかけていた。


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産後うつになるとどういう影響が出るの?

産後うつになってしまうと、以下のように、ママ本人だけでなく、パートナー、家族、そして何より、お子さんの成長に大きな影響を与える可能性があります。そのため、ママを孤独に陥らせない環境作りなどの対策が分娩直後から求められます。

▼をクリックして各項目の詳細がご覧いただけます。
パートナーに産後うつや子育てそのものに対する理解・サポート力が欠けていたり、気分が落ち込んで憂鬱な気持ちが続き、イライラが止まらず、パートナーにきつく当たり続けてしまうと、もしかしたらパートナーも支えきれずに夫婦仲の悪化につながってしまう可能性もあります。

現在は産後2年以内が最も離婚が多いと言われていますが、産後うつ、子育てうつ、孤独な育児が要因の一つになっていると思われます。

産後うつが適切に対処されず、悪化してしまうと、産後精神病や統合失調症などの、より重篤な心の病に移行してしまう可能性が出てきます。そうなると、治療が最優先され、子育てをすることはかなり難しくなってしまいます。

産後うつと虐待の関連性は、いまだに専門家によっては議論がありますが、心身ともに余裕がなくなることで、

・身体的虐待(殴る・蹴るなど)
・心理的虐待(脅しなどで恐怖に陥れたり、自尊心を傷つける言葉を浴びせるなど)
・育児放棄・ネグレクト(幼い子どもを家に残して外出する、食事を与えないなど)

など、以上のような虐待につながる可能性は否定できないと思います。

周りの理解や支えがなく、孤独に育児を続けるママの中には、深刻な事態に悪化し、赤ちゃんを残して、もしくは道連れにして、命を絶つ決断を下してしまう場合があります。

残念ながら、自殺に至ってしまった場合、残された配偶者、子どもたち、家族は大混乱に陥ります。ショック、失望、怒り、自責の念、様々な感情が渦巻く中でも、まったなしで子どもたちのサポートを始めなければなりません。それは長期間に渡り、深いサポートが必要になります。場合によっては、年月を経て、子どもに精神症状が出ること、そして、残された人たちにも精神症状が出ることも多々あります(心に何も影響を受けない方が少数派とも言えます)。そのような経験をする方が1人でも減るよう、祈るばかりです。

苦しい精神状態で子どもに向き合い続ける場合、子どもに無条件の愛情や信頼を注ぐことが難しくなりますので、子どもの「心」の成長に影響が出る可能性があります。

主要な養育者に、孤独な育児や産後うつ・子育てうつが続いてしまうと、子どもが幼いうちは大丈夫なように見えても、後々に、成長する過程、あるいは、成長した後に、「愛着障がい」の様相を呈して、症状が現れることもありえます。

「愛着障がい」とは、無条件の愛情や信頼を注がれないことで、自尊心が育たず、もしくは心にトラウマを抱えるようになってしまうことをいいます。それによって、パーソナリティに歪みを生じ、日常的な「生きづらさ」を感じるようになるだけでなく、非行、ひきこもり、精神疾患、自殺、児童虐待、依存症、犯罪など様々な社会的な課題を生み出す種になる可能性のあるものです。

※「愛着障がい」の定義は専門家によっては異なる表現をされる場合もありますが、僕は以上のように拡大解釈しています。医学的に正しい表現だとは言い切れませんので、参考程度にご理解ください。


※川崎殺傷事件などの凶悪犯罪は「子育ての結果」と指摘されています。

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どうして産後うつになるの?

産後うつになってしまうのは、様々な要因が複雑に絡み合うことによりますが、原因を一言で説明すると、「子どもが生まれる」という大きな環境の変化に、心も身体も対応できない状態が続いた場合、と捉えることが出来ます。

産後うつになる原因をブレイクダウンして考えると、「さ・し・す・せ・そ」のキーワードによって説明できるのかなと思います。
これはあくまで僕独自のアイデアですので、参考程度になさってください。


◎産後うつになってしまう「さ・し・す・せ・そ」

▼をクリックして各項目の詳細がご覧いただけます。
一人の「いのち」を20年近く預かる子育ては、とても一人で出来るものではありません。子育てをしていく上では、以下のような立場の人たちから、サポートや理解が得られるか、手伝ってもらえるか、また、話を聞いてくれる仲間や自分の居場所があるか、ということはとても大切です。

・パートナー
・親
・兄弟・姉妹
・親戚
・友人・知人
・ママ友
・隣人

このようなサポートや理解が手厚いと、産後うつや子育てうつになる可能性も低くなります。

ただ、例えサポートしてくれたとしても、これは親にありがちですが、自分のことを尊重してもらえないヘルプだったり、余計なことを言われてヘコまされたりすると、さらにストレスが溜まりますので要注意です。

また、シッター・サービスなどによって、一時的に『ママやめ』して自分の時間が出来、心身ともにリラックスできるようなサポートを得られると、ママは笑顔で子育てがしやすくなるかもしれません。

「さ」で挙げたようなパートナーや家族などからのサポート・理解だけでなく、ママを取り囲む社会環境がサポーティブなものか、ストレスを与えすぎていないか、も重要なポイントです。

行政や国などの社会的な理解・サポート、例えば、保育園や幼稚園、学童も含めて、ママにサポート・仲間・居場所があるかどうかも大きく影響します。

「社会の目」や理解と言ったものも、ママのストレス蓄積に意外に影響すると思われます。

例えば、

・交通機関や公共の場所などで、子どもがぐずったり、泣いたりした時の周りの目
・ベビーカーで交通機関やエレベーターなどに乗った時の周りの目
・重いベビーカーを持ち上げて階段に登らなくても良い設備作り

など、外に出かけて「社会」と接した時の困難さを少なくすることも「理解」につながるのかなと思います。


逆に、ママたちはあまり「社会の目」というものを気にしすぎなくてもいいと思います。ネガティブなことを言うのは、ほんの一部で、大抵の人は子育てに協力的ですから。

睡眠不足や身体的疲労、パートナーや親・家族などの理解・サポートが不足していると、ストレスを溜めやすくなり、産後うつになる確率も高まってしまいます。

ストレスはその他にも以下の要因で増大する可能性があります。

・赤ちゃんが、寝ない・飲まない・泣き止まないなど、現実的に育てにくい。
・母乳がうまく出ず、授乳が思うようにできない。
・出産が思い描いていたようにいかず、女性としてママとして、自信をなくしてしまった。
・赤ちゃんが産後すぐにNICUのお世話になる等、不安がつきない状態である。
・子どもに障害や病気があることが判明した。
・最近、身近な人の死、パートナーとの別離、家族や友人との諍い、失業など、強いストレスを感じる出来事があった。
・経済的な問題がある。
・ニュースで大きく報道されるような、自然災害や大事故・事件などに強く心を痛めた。
・親や義父母、友人、知人、会社、保育園・幼稚園、ママ友、学校、隣人など、生活に関わる人間関係がうまくいっていない。

その他、理想と現実のギャップ、自分の時間が持てないこと、夢が叶えられないこと、生きがいの喪失、社会から取り残されたような孤独感など。

「産後うつになりやすい性格」というのは、実はすでに医療者によってかなり洗い出されています。

これらの性格に共通するのが、「あるべき族」という観点。

赤ちゃんはご想像通り、自分の思い通りにいかない存在なのですが、“母親はこうあるべき”、“子育てはこうでなきゃ”、という「あるべき族」の傾向が強かったり、「こういうママになりたい」という計画・イメージ・理想像が大きく膨らんでいて、現実とのギャップがあった時に、その考えを捨てきれないと、ストレスを抱えやすくなります。

例えばよく聞くのが、母乳がうまく出ないのに、「母乳であるべき」と頑張りすぎて追い込まれてしまうケース。

実は母乳がうまく出ない方は意外に多いんですが、ほとんどすべてのママ・パパが「母乳は勝手に出てくるもの」と思っているので、なかなか切り替えられず、「母乳が出ないなんてママ失格なんじゃないか……」と強いストレスになります。

この「あるべき族」というのは、社会生活が長く、自分のペースで人生を歩めば歩むほど、やっぱりその傾向が強くなります。近年は平均初産年齢が30歳を超えていますが、晩産化の一つの影響として、「あるべき族になりやすい」という点があるかもしれません。

出産前に社会で活躍してきたママの場合、様々なことが自分のイメージ通りに出来てきた人が多い傾向がありますが、育児はそれまでのやり方に当てはまらないことも多く、ストレスになりやすいようです。

僕は「あるべき族」の「族長」みたいな人間なので、ものすごく気持ちは分かります(笑)。

もしくは周りに強い「あるべき族」がいて、その勢いに飲み込まれてしまったり、ママによっては「“母親はこうあるべき”と社会は思っているだろうな……」という見えないプレッシャーによってストレスが増し、産後うつになりやすくなってしまう人もいます。

また、これはここの項目が適切なのか分かりませんが、以下の経験がある方も産後うつには「ハイリスク」と医療的には言われています。

・過去に、うつ病や適応障害など心の病にかかったことがある。
・妊娠中に、うつ病や不安障害になったことがある。
・前の出産の時に、産後うつになったことがある。
・家族の中にうつにかかった人がいる、またはうつの人がいる。

「自分がどう育ってきたか」ということは、実は妊娠・出産・育児に大きな影響を与えます。

子育てという、それまで未経験のことをスタートする上で、多くの場合、意識的にも無意識的にも、自分の親が「モデル」になります。

自分は愛されて育てられた、と肯定的な実感があったりすれば、「親がしてくれたように自分の子どもを育てればいいんだよね」と深く考え込まなくても良いのですが、もし、親に対して肯定的な感覚がない場合、自分で「親像」をイチから作らなくてはなりません。これは、かなりクリエイティビティの高い人でもしんどい作業です。

場合によっては、無意識のうちに親の悪い部分を踏襲してしまって、例えば、親が自分にしていたような理不尽な叱り方は絶対にしたくない、と思っていたのに、気づいたら自分も同じように子どもを叱っていた、というのはよく聞く話で、後に自分を責める原因にもなったりします。

親に上手く愛情表現をしてもらえなかったり、良い子にしていた時だけ褒められたとか、100点を取らないと認めてもらえないなどの「条件付きの愛情」ばかりで、「無条件の愛情と信頼」をもらえなかった人、それにより、いわゆる「愛着障がい」を抱えた人は、自尊心が育ちにくく、自分に自信がなく、不安を抱えやすくなります。

女性によっては、ちゃんと産めるのか、きちんと育てられるのか……、子どもが少し体調不良になれば、死んでしまうんじゃないか……、などなど、不安で仕方がなくなってしまい、右往左往しがちになります。つまり、今の自分にOKを出せずに、自分で自分を追い詰めてしまうことにもつながってしまうんです。

親に対して葛藤やわだかまりと言ったものを抱えていると、親に助けを求めにくくなってしまいます。

産後に手伝いに来てもらったものの、母親の理論を押し付けられたり、優しく接してもらえなかったりすることで喧嘩になり、それ以来、あまり助けを求めなくなった、という話も非常によく聞きます。






■【ママだって満たされなければ愛は注げない】映画『ママをやめてもいいですか!?』ちょい見せ動画

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産後うつにならないようにママができること

産後うつへの対策は、一言で言えば、サポートを増やし、ストレスを減らすこと、です。



その方法論として、以下の10点が考えられます。

▼をクリックして各項目の詳細がご覧いただけます。
先に書きましたが、オリンピック選手だって、初めてその競技に触れた時は、あまり上手くは出来なかったはず。最初から完璧な100点ママを目指そうとすると、自分の首を絞めてしまう可能性だってあります。自分が出来ていない部分に注目しすぎてストレスを溜め込むよりも、出来ている部分を褒める方が、きっと精神的には晴れやかです。

よく言いますが、60点でいいーーんです!! 授乳し、ミルクをあげ、オムツを交換し、着替えさせ、抱っこして、寝かしつけ、子どものいのちを生かしているあなたは、毎日十分頑張っています。そのことをまずは自分で認めてあげて、完璧に出来ない自分にOKを出してくださいね。

毎日がんばっているすべてのママに、励ましの詩をご紹介します。



この詩はもともと、ニュージーランドに伝わる、子育てに奮闘するお母さんを励ます詩でした。実は映画『ママをやめてもいいですか!?』の中に、ママがやっていることを一つ一つ評価するシーンがありますが、それは、インタビュー撮影させていただいた山本詩子先生の助産院に貼られていたこの詩からインスピレーションを受けて作ったものです

子育てで困っていることや、楽しかったことを伝えたり、話を聞いてもらうだけで、気持ちが癒されることがあります。もちろん、聞いてもらう相手は誰でも効果がありますが、ママが一番話を聞いてもらいたいのは、一緒に子育てをするパートナーではないでしょうか。

特に最初のうちは、ママは外に出にくく、社会と隔離されたような感覚を味わいがち。言わば、パートナーが社会との接点の役割を果たす部分も出てきたりするので、パートナーに話を聞いてもらうことは、孤独感を軽減する上で非常に大切なことになってきます。ぜひ、そのことをパートナーにもはっきりと伝えて、理解を促しましょう。

しかし、1日中、仕事を頑張って来てお疲れ気味のパパにとっては、時に、話を聞く、ということすらしんどくなってしまう場合があります。特に「結果主義」の傾向の強い男性と、「経過主義」の傾向の強い女性では、コミュニケーション方法が異なるので注意が必要です。

「結局、何が言いたいの?」とか「結論は何?」などと言われたことのない女性はいないと思いますが(笑)、結論や方向性が見えず、登場人物が入れ替わり立ち替わり、ストーリーがあっちゃこっちゃしてしまうマシンガントークは、時に男性にとって苦痛に感じてしまうこともありえます。

場合によっては、最初に結論を言ってみたり、少し相手が話に参加するスペースを作ったり、こういう時だからこそ、コミュニケーションに工夫してみると、楽しく子育て会話ができるかもしれません。

一時的にでも、「ママやめ」して(ママを休んで)リフレッシュすることも大切。子どもを家族や保育園などに預けられると、ストレスをためすぎずに子どもに向き合えるようにもなります。

でも、もしかしたら、お子さんを預けることに精神的な抵抗があるママもいらっしゃるかもしれません。

24時間365日一緒にいても全くストレスを感じないのであれば良いかもしれませんが、もしストレスをためてしまうのであれば、少しの間でも離れる時間を作った方が、ママのため、お子さんのためでもあります。

『ママやめ』は決して、ママをサボることでも、辞めてしまうことでもありません。より良い子育てをするために、必要なことです。

もし精神的な抵抗があるのであれば、「子どものため」と思って、休憩してください。

子育ては1人で孤独に取り組むにはしんどすぎるものです。そのことで追い詰められて、産後うつにつながったりしますので、パートナーはもちろんのこと、親、家族、兄弟・姉妹、友人、そして地域や行政に、遠慮しすぎず助けてもらいましょう。

実際に手を貸してもらうのではなく、話を聞いてもらったり、相談するだけでも子育てが一気に楽になります。また、育てにくさを感じたりする時こそ、地域や行政に相談して繋がっておくことは、その後の子育てにも有益です。

たとえ、パートナーや親のサポートがあったとしても、子育て特有の「共通言語」が通じない時もあり、「分かってくれない」という孤独を感じやすくなります。

そんな時、同じ立場で「共通言語」の通じるママ友は、子育ての大きな大きな味方になってくれます。

話してみると、実は同じようなことで悩んでいたり、不安に思っていたりして、「自分はひとりじゃないんだな」とホッと安心できたりするものです。また、クリニックや予防接種など様々な情報交換をすることで、いざという時に子どもを守ることにもつながります。

言わば、「ママ友探しは宝探し」だと思って、病院での集まりや地域の子育てルーム、公園など、積極的に外に出て、情報を集めてみてください。

少し時間はかかるかもしれませんし、場所によっては地域によっては近所での友達づくりが難しい場合もありますが、自宅以外に自分の「居場所」があることは、ママの気分転換になるだけでなく、他の人の子育てを参考にすることができたり、近い将来、お互いに子どもを預かってもらったり、何か頼みごとをお願いできるなど、良い点がたくさんありますよ。



ちなみに我が家には、近所、保育園、小学校という環境の中で、たくさんのファミ友がいますが、それぞれ、気軽に頼みごとを言えるようになるまで、3年くらいはかかりました。でも、いまでは、例えば夜や休日の撮影があっても、娘の面倒を頼める人は何人もいますし、それ以上に僕らがお子さんたちをお預かりして楽しい時間をすごす機会も多々あります。

日々、積極的に顔を出したり、話す機会を作ったりすることって、すごーーーく大切だなぁと実感しています。

ただ、「友達を作るのが苦手」というママもいますよね。もちろん、あまりにストレスになるようであれば、無理して作ろうとしなくても大丈夫です。他のママと会った時に、笑顔で挨拶するようにしていれば、そのうち自然とママ友らしき人ができていくのかなと思います。

目の前に赤ちゃんがやってきて、それまでの人生と何も変わらない価値観で子育てが出来るか、と言われたら、まぁ現実、そんなことはありません。

「親になる」という「アプリ」を新たにインストールすることが必要になってきます。 赤ちゃんにアプリを組み込んでもらうのは難しいですから、赤ちゃんに合わせて自分を変えるという意識で、人生そのものをアップデートしましょう。

耳の痛い人もいるかもしれませんが(笑)、夫婦関係はどうしても家庭の中での土台になります。その土台がしっかりしていないと、やっぱり難しい部分が出てきてしまいますので、赤ちゃんだけではなく、パパはママを、ママはパパとの関係も大切にしたいですね。

どうしても、赤ちゃん中心になり、パパもママもそれぞれを大切に労わることが難しくなって、知らず知らずのうちに「子育て沼」にハマっていく場合があります。だからこそ、時折、夫婦の時間を作るなど、「良い夫婦関係を築こう!」と、あえて強く意識をすることも大切です。

ママとパパは子どもに対して、子育てに対して、向き合い方が大きく異なりますが、そのことを理解しておかないと、ストレスを増大させる要因にもなります。

ママは「トツキトオカ」という月日をかけて妊娠・出産という大仕事を自ら経験するので、親として「スイッチオン」しやすい傾向にありますが、パパは身体的にも変わるわけではありません。

例えば、妊婦健診に付いていったり、一緒に散歩に行ったり、出産に立ち合ったり、あるいは、産後のオムツ替えや抱っこなど、ママと一緒に面倒を見ていくことで、「スイッチオン」というよりも、徐々に「ボリューム・アップ」してパパになっていく傾向があります(この辺りについてはまた後述しています)。

その違いを理解しておくと、「どうして分かってくれないの?」というようなイライラが少しだけ小さくなるかもしれません。

何も知らないまま、いきなり子育てを始めてしまう人も多いのですが、「一人の命を育てる」ということは、とても大きなこと。「子どもはどうやって育っていくのか」、「○○な時にどう対処したらいいのか」など、分からないことが山ほどありますが、知っておくことで守れることも山ほどあります。

子どもためにも、家族のためにも、子育てについて、自分なりに勉強しておくことも必要です。

子どもが生まれると、特に母親に助けてもらう機会が劇的に増えます。赤ちゃんを見てもらったり、食事を作ってもらったり、代わりに家事をしてもらったり、良い関係性のもとで手伝ってもらえると、非常に助かります。

しかし、ご両親も、忙しい中、疲れやすくなっている中、予定を変更したりして、愛する我が子のため、と思って手伝ってくれています。ぜひ、「助けてもらって当たり前」という態度ではなく、「いつもありがとう」と感謝の気持ちを伝えてください。助け・助けられ、という良いループが出来、子育てにとって大きなパワーになります。

しかし、親と良好な関係でない場合、助けを頼めなかったり、頼んでもかえってストレスになってしまったり、様々な側面で子育てに不安定さをもたらす可能性が出て来ます。

また、自分の期待したように動いてくれない親への失望や怒りから、「心がガス漏れ」して、イライラしやすくなってしまうなど、子育てにおいてはマイナスに作用することが多々あります。

非常に難しい課題ではありますが、もし親とわだかまりがあるようであれば、この機会に向き合い、関係を改善できると、何も言うことなし。素晴らしいです。

親に対するネガティブな感情は、あなたが子育てをしていく上で負担になりますし、場合によっては長い年月をかけてあなた自身を蝕んでいく可能性さえあるからです。

僕も長年、親との関係が悪く、「愛着障がい」を抱えて生きて来ましたが、親になる過程で両親との関係を劇的に改善できたことで、嘘のように心が晴れやかになり、ストレスをためにくくなりました。

しかし、長年、染みついたネガティブな親子関係を改善するのは、時に至難の技です。こちら側の意識変容だけでなく、どうしたって親側の意識改革も求められるのですが、何せ相手は60-70代と「変われなくなるお年頃」……。

また、1人で親子関係の改善に取り組むのは「負け戦」に挑むようなもの。必ずパートナーなどの支えが必要になりますし、長期戦になることをあらかじめ覚悟しておかないと、一回の撃沈でギブアップし、さらに関係性が悪化する要因にもなります。

親との相互作用による関係改善が難しい場合には、以下のような取り組みも考えてみてください。


◎親とのやりとりをやり過ごす方法

・ムカッとすることを言われたら、将来、テレビのトーク番組に投稿するネタが出来たと思って、メモっておく。もしくは、深呼吸をして、「なんでこういうことを言うのかな?」と、その背景を探ってみる。
・ストレスになりすぎないように、適度な距離を保つ。
・ここまで育ててくれたことに、ひとまず感謝しようという気持ちをもってみる。
・「これまで親がしてくれたこと」を、些細な点を含めて書き出してみる。
・カウンセリングに通って関係性を見つめ直す。
・親との関係性について、パートナーにじっくりと共感的に話を聞いてもらう。
・期待通りでない生育歴にも関わらず、ここまで頑張って来た自分を褒める。
・親が変わってくれることを期待しすぎない。場合によっては諦める。

親との関係改善で時に抜けてしまう「トラップ」が、親に変わってくれることばかり求めて、自分側が変わろうとしないこと。人を変えるのはこの世で最も難しいことの一つであるのに、相手ばかりに求めても、ほぼうまくいきません。

そこで提案したいのは「気づいてしまったあなたが変わる」こと。ゴールが見えてしまったあなたが、答えを知ってしまったあなたが、鍵を拾ってしまったあなたが、さっさと前に進んでしまうのです。

ただし、これらすべてをやりましょうということではなく、このうち出来そうないくつかに取り組んでもらえれば、予防になりますよ、という意味合いで捉えてください。これを全部できる人なんていませんので! (笑)。


以上、サポートを増やし、ストレスを減らす方法を10点ほど書きましたが、このうち、半分くらいでも実現できると、産後うつへの対策になるかなぁと思います。
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大切な人を産後うつにしないために周りでできること(パートナー編)

ママを産後うつにしないために、パートナーができることは、以下のようなことなどが考えられます。


▼をクリックして各項目の詳細がご覧いただけます。
もしかしたらママにとって一番助かるのは、「一緒に子育てをしている」と実感できることかもしれません。一緒に子育てをしている、と感じられると孤独を感じずに済みますから、ママが産後うつになる可能性はほとんどなくなります。

オムツ交換や沐浴、抱っこ
などはもちろん、外に出かけた時は抱っこ紐に入れて移動するなど、「積極的に関わってくれている」と感じられることは大切です。

頻繁な授乳によるママの睡眠不足は産後うつのリスクを高めますので、何かしらの対策は必要です。

母乳をあげているとおっぱいが張ってくるし、赤ちゃんも授乳を求めます。初期の頃は8時間の睡眠を続けて取ることは難しいと思いますので、途中で授乳を交代して、ママが「4時間の睡眠を一日に2回(合計8時間程度)」、取れるようにサポートできると良いかもしれません。

ただ、これは議論が分かれるところですが、夜中の授乳はよく話し合ってください。

やはり眠れないと仕事に支障をきたしますし、眠そうに仕事をしていることに対する上司や同僚たちへの心象、将来のキャリア形成など考え、どこまで具体的に一緒に取り組むべきかどうかは、夫婦で判断する必要がありそうです。

「他の家庭がこうだから」「メディアでこんな話があったから」ではなく、各家庭ごとに事情は違いますので、話し合うことは、やっぱり重要です。

ちなみに僕は、夜中の授乳は免除してもらい、それ以外はすべてやりました。ただ、いま振り返ってみると、夜泣きでの寝不足は子育て人生においても、たかだか数ヶ月だったので、一緒にやっていてもあまり問題にはならなかったかな、とも思いますし、産後に「パパ・ボリューム」が全然アップしていない人には、夜中の授乳は半ば強制的に「パパ・ボリューム」をアップさせる機会になるとも思います。

ミルク、もしくは、あらかじめ絞っておいた母乳を与えるなどすれば、授乳の交代も可能ですし、パパにとって、実は「授乳体験」というものは、「ああ、子育てって大変なんだなー!」と実感する機会になりますので(意外に難しいんすよ!)、ぜひトライしてみてください。

また、数年もすると、本当に良い思い出になりますよ〜。


家事などは「一緒に」お皿を洗ったり、料理をしたり、掃除をしたり、そして子どもと遊んだりすることで、会話をする機会にもなるし、楽しい時間を過ごすことが出来、ママにとっては大いに子育てのパワーになります。


家庭によっては「役割分担」を決めて取り組む人たちもいると思いますが、僕個人としては、家事の役割分担には積極的に賛成ではありません。なぜなら、分担をきっちり決めてしまうと、どうしても「出来ていないところ」にばかり目がいって、さらなるストレス要因になる可能性が高いからです。なかなか、「出来ているところ」を感謝し合う、というのは難しいんですね〜……。

出来れば、家事・子育てだけでなく、仕事も含めた「家族のためにしていること」を洗い出した上で、得意なこと・好きなことをいずれかができるように、話し合って決めていくことが理想的。

ただ、パパ・ママ共に、得意でもないし好きでもない……という場合は、役割分担を決めるのも必要なこと
かなと思います。

我が家は幸い(!!)なことに、妻が家事(特に料理!!)が好きで得意(!!)。一方の僕は作品作りが得意、ということにさせてもらって(笑)、家事・子育ての役割分担は柔軟に話し合っています。


もし、どうしても家事が苦手、ということであれば、マッサージをしてあげるのはいかがでしょうか? 身体的には女性の方がやっぱり疲れやすい傾向があるので、マッサージはとっても嬉しいと思います。

スキンシップをはかることで、「愛情ホルモン」と言われるオキシトシンが出やすくなって、ストレスも軽減できます。

ただ、数分のその場しのぎマッサージではなく(笑)、話を聞きながら、じっくりとしてあげた方が毎日のパワーにつながると思います。

前述したように、夫婦関係は家庭の中での土台になりますので、お互いに大切にしていこう、と強く意識することで、ようやく維持・発展できる側面もあります。何も考えず、何もせずに家族が安泰でい続けるのは難しいかもしれません。

夫婦関係を大切にするために、パパとして何が出来るかな?と考えて、取り組んでみてください。

ママの話を、お茶でも飲みながら聞いてあげる時間を作ってあげてください。話を聞くという行為は、実は「相手を受け入れる行為」であり、「インバウンドの愛情表現」です。だから、話を聞いてもらえたと思うと、ママは精神的に落ち着く傾向があるんです。

あまりにも忙しいようであれば、1日5分でも10分でもいいです。少しでも話を聞いてもらう時間があるのとないのとでは、ママの気持ちは全然違うようです。

ただし、話は「共感的に」聞かないと意味がありません。スマホやテレビなどは見ずに(!!)、しっかりと顔をつきあわせて話を聞いてあげてください。


また、親との関係が良好でないママの場合、親に対する不平・不満が出てくることもありますが、その際は「産んでくれた親なんだから感謝しないなんて理解できない」という態度ではなく、「そうなんだぁ」と受け止めてあげてください。

一番苦しいのはしっかりとした愛情と信頼を与えてもらってこなかったママ自身です。その時に、一番理解してほしいパートナーに首を傾げられることほど辛いことはありません。親との葛藤を抱えざるをえなかったママの育ちに想いを馳せてあげてください。

場合によっては、ママが親との関係改善に取り組むこともあるでしょう。その時は何があろうと全面的に味方してあげてください。親との関係改善において、パートナーのサポートは最重要必須項目です。「負け戦」が続くこともありますので、戦場から傷ついて帰ってきたママをなぐさめて、出来る限り、支えてあげてください。

もう一点、ママの話を聞いているうちに、場合によってはママに「あるべき族」の傾向が強いことに気づくこともあるかもしれません。行き過ぎた「あるべき思考」は産後うつを呼び込む要因になりますので、注意深く、愛情深く、見守ってあげてください。

この場合、真正面から「そういう考え方はしない方がいいよ」と言っても、「自分のことを否定された」としか捉えてもらえないので、話を共感的に聞きつつ、「まぁ、そこそこでいいんでない?」とか「分かる! でも、そこまでしなくても大丈夫だよ」など、ママの気持ちを受け止めつつ、「あるべき思考」という考え方の「コリ」をマッサージでほぐしてあげるような気持ちで、話を聞いてあげてください。

あなたの奥さまは、あなたの大切な子どもを産んでくれ、そして日々、育ててくれる神のような存在。しっかりと感謝の気持ちを伝え、ねぎらい、愛情を表現するようにしてください(ちゃんとやってるか〜い?)。

そのことでママは元気になりますし、子育てにとっても間違いなくプラスになります。ただし、思っているだけでは、テレパシーが得意なママでない限りは伝わりません。しっかり、伝えましょう。

現実には、こういった精神的なサポートが苦手で、仕事に打ち込むタイプのパパもいると思います。「我が子のためにも稼がないと!」と頑張っているかと思いますが、様々な統計資料や僕自身の取材した肌感覚から言いますと、「精神的なサポートのない稼ぎ方」は、現実には、そして誠に残念な話ではありますが、ほとんど適切に評価されません(笑)。

多くの女性にとっては「稼ぐのは当たり前であり、日常」になってしまう傾向があり、いくらあなたが稼いできたとしても、そのうち、感謝の気持ちはあまり持てなくなり、「それ以上に何をしてくれるのか?」が大切になってきます。僕もこれが良いことだとは全く思っていませんが、現実の話です。

旦那さんの稼ぎが多くて、素晴らしい環境に住み、何不自由なく暮らし、時折、家族で海外旅行に行けるような女性から、僕がどれほど旦那さんへの不満を聞いてきたか!(笑)

ただ、これを非難したとしても何も変わりません。
それ以上に、「適切に」評価されるためにも(?)、こういった精神的なサポートの仕方を身につけた方が、長い目で見て、夫婦関係にとっても、家庭環境にとっても、あなたの豊かな人生計画にとっても、好影響をもたらします。現実的に。

どんなに愛する子どもでも、休みがなければしんどくなります。どんな好きな仕事だろうと、休みがなければやめたくなるのと同じこと。

子育てや家事を代わって、たまに「ママやめ」できるようにしてあげてください。


◎パパが出来る物理的なサポート

・ミルクをあげる(昼)
・ミルクをあげる(夜)→ただし仕事に差し支えがないようにご注意を
・オムツ交換
・沐浴
・赤ちゃんの相手
・買物
・料理
・(既に1人目がいれば)上の子どもの相手、幼稚園・保育園などへの送迎
・家事(掃除、洗濯、食器洗い・棚戻し、ゴミ集め・ゴミ捨て、郵便物のチェック、ベッド・メイキングなど)



また、家事には、いわゆる「見えない家事」というものも多々あります。「今夜くらべてみました」というテレビ番組内で扱われた「見えない家事リスト・全162項目」が参考になりますので、良かったらご覧ください。

家事はやろうと思うと、これだけの事があるんですね〜!

もし、忙しすぎたりする場合は、家事代行サービスや託児サービスなどを調べて提案してあげるのも良いと思います。

お花が嫌いな女性はほとんどいません。ケーキなどのデザート類だと、母乳が出にくくなったり、体重が増えてしまったりなどマイナス面がありますが、お花をプレゼントして「あなた、何買ってきてるの!?」と怒るママはいないでしょう。

色とりどりな花があることで、部屋が明るくなり、彩りが生まれ、ママの心も軽やかになる効果があります。お花は幸福感を呼び込む魔法の杖です。ぜひ月イチくらいでママに花を買ってきてあげてください。

ただ、当然ではありますが、花が苦手な女性もいらっしゃると思うので(それはおそらく、パートナーが一番よく知っているでしょう)、その場合は、ママが喜ぶ別の何かを贈るのが良いですね。

いまいち納得いかなければ、「維持費」みたいなものだと解釈してください(笑)。とにかく、やらないより、やった方が絶対イイ。

これは意外に思われるかもしれません。公園や子育て広場、病院での集まりなど、ママ友がいる現場にパパが行っても「やることがない」と思われたら、それはちょっぴり早計です。

奥さんのママ友というのは、あなたの代わりに、常日頃、あなたの大切な人の手助けをしてくれる宝のような存在。

そんなお世話になった人には、パートナーとして、しっかりと挨拶をし、お礼を伝え、さらに関係が密になるようにコミュニケーションを図ることが礼儀、という見方もできます。

ママ友もしくはファミ友作りをママ1人に頼るのは、ママにとっては時に負担が重い作業になりますし、パパがいることでさらに会話が弾んだり、パパが子どもの面倒を見ている間にママがおしゃべりできたりと、プラスになる要素ばかりです。

ママによっては話しかけるのが苦手な人もいますので、その場合はパパが質問したりして時に代わってあげるのも一つです。ただし、「パパが見知らぬママに話しかける」というのは、パパにとってはかなり高い壁でもあるので、無理しすぎないようにしてください。

いずれにしろ、ママの仲間・居場所作りをママに頼り切らないようにしましょう。

これも前述しましたが、「一人の命を育てる」ことはとっても大きなことだから、何の備えもなく行うとマイナス面も出てくる可能性は出てきます。そして、子育ては夫婦でするもの。ママに子育てを任せるのではなく、子どもはどうやって育っていくのか、こんな時にどう対処した方がいいのか、奥さんのサポートの方法は?など、パパとしてもしっかりと心得ておくことは大切です。

ビジネス的に言うと、クライアントから契約を勝ち取りたい!という時には、きちんとリサーチしたり、どうしたら喜んでもらえるか、徹底的に考えますよね。

例えば、株を買う時はその株について徹底的にリサーチするはずで、家を買うなら立地条件やローンなどについて事細かく考えるはずですが、それは子育ても同じ。

しっかりと調べて、リサーチすれば、それに比例して、子育てしやすくなりますし、ママが苦しむ確率も劇的に減ります。



ママがどんな助けを求めているのかがよく分からないというパパも多いと思いますが、言ってもらうのを待つことよりも、どんな助けを求めているのか、ママをよく観察して、自分から動く・提案することの方が求められている傾向があります。

映画『ママをやめてもいいですか!?』の中にも出て来ますが、ママがよく言うのは、「伝えるのがイヤ」だということと、「わたしを見てくれていたら何を求めているのかが分かるはず」という気持ちです。「相手に言われるまで何もしないのは、仕事が出来ない男だ」とさえ主張するママの言うことにも一理あります。

助けを求められる前に動く、のが本来、求められていることですが、これも映画の中に出て来ますが、「ママの求めていることとパパのしようとしていること」にズレが生じる時も多くあります(苦笑)。

せっかくやったのにやり直しを求められたり、喜んでもらえなかったりしてモチベーションが下がってしまうこともありますので、もし分からなければ、「言ってくれなきゃわかんねーよ」という態度ではなく、「分からなかったわたくしの至らなさ、面目次第もございません」という態度で、申し訳なさそうに尋ねるのが良いでしょう(笑)。

一方、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、やっぱりパパもすべてをテレパシーできるわけではないので、特に「言わなきゃ伝わらない夫」の場合は、ママが伝える努力をしてみるのも大切かもしれません。

お互いに努力、大切ですね。

・ママの話を共感的に聞かない
・言っていることを理解しようとしない
・余計なアドバイスをする
・助けを求められているのにやらない
・変化を求められても変わろうとしない
などが続くと、ある日突然、ゴングが鳴ります
が(笑)、その時にはもうサンドバッグになるしかありません。

もしかしたら「妻が急にキレた」と思うかもしれませんが、そこまで実は少しずつ温度が上がっていて、沸点に到達したことに気づかなかった、あなたの観察不足の結果です。

こうなったら、「申し訳ございません」と、クライアントに詫びるように、自分の非を受け入れましょう。

ただし、ママの求めていることを回避し続けていると、定期的にキレられますのでご注意を。自分ではうまく逃れているつもりでも、ママはお見通しです。




■【ママの地雷を踏まないで!これだけはやっちゃダメ!】映画『ママをやめてもいいですか!?』ちょい見せ動画

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topics2
〜パパも産後うつになるってホント!?〜



ママと同じくらいの割合で、パパも産後うつになることが、最近の研究でわかってきました。

カナダでは約8.4%の男性がいわゆる産後うつの状態になったという研究結果がありますが、日本国内の研究でも約1割のパパが産後うつのリスクありと判定されています。

パパも、赤ちゃんが来たことを喜びながらも、その環境の変化に戸惑います。そして、パパになったからには、大黒柱として一層仕事も、さらに子育ても頑張ろうと思うもの。

でも、どうしても子どもと接する時間が短いパパに、子どもは懐きにくかったり、家事や子どものお世話に慣れていないと、ママから「違う」「頼りにならない」などと言われたりと、居場所をなくしてしまい、ジレンマに陥ることがあるのです。

ママもパパもお互いを理解し、労わりながら、子育てを一緒に楽しみたいですね。




■【衝撃事実!パパも産後うつになる!】映画『ママをやめてもいいですか!?』ちょい見せ動画

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大切な人を産後うつにしないために周りでできること(家族や友人など周りの人編)

ママを産後うつにしないために、周りの人たちにできることは、以下のようなことなどが考えられます。

▼をクリックして各項目の詳細がご覧いただけます。
産後うつは10人に1人がなってしまう可能性があり、誰でもなりうるものです。周りで支えられる立場の方々が『産後うつ』という病気があると知った上で、サポートをすることが、まずは大切です。

特に上記の「さ・し・す・せ・そ」に当てはまる項目が多い方には、もしかしたら予想以上のサポートが必要かもしれないことは頭に入れておいてください。項目が多い方は、産後2週間から1ヶ月は特にサポートが必要です。

体力や気力を回復させるため、精神的な休養や睡眠をとらせてあげてください。

「話を聞いてもらえた」と思うと、ママは精神的に落ち着く傾向があります。

場合によっては、ママが「あたしはダメだ」と自信を喪失したようなことを言うかもしれません。その時、以下のうち、いずれの対応が求められるでしょう?


1.「あなたはダメなお母さんではないよ。よくがんばっているよ」と励ます。

2.「そう……。そう思ってしまうんだね……」と聞き入れる。


実は、「2」を求めている方が多数派です。

「1」はママが言っていることを部分的に否定することにもなるので、「自分が伝えたいことが受け入れられていない」と受け取られることがよくあります。

一方、「2」はママが伝えたいことを一旦は受け入れ、そして寄り添う対応なので、ママは「この人はわたしのことを分かってくれている」と思い、精神的に落ち着く傾向があります(もちろん、状況や言い方によって異なりますので万能ではありません)。
※「1」を言うのであれば、「2」を言って受け入れてからが良いようです。

ママが言葉にしたことを、受け入れ、もし否定的なことを言っているようであれば、「なぜそう思うのか?」と聞いてあげることで、ママもつまった思いを吐き出せることもあるかもしれません。

根気よく耳を傾けてあげてください。

ママは既に寝る間も惜しんで頑張っています。それをしっかりと認めて、言葉と態度で表現してあげてください。ママが自信を持てることは何よりも子育てへのエネルギーになります。

産後はどうしても赤ちゃんにばかり関心が行きがちです。もちろん赤ちゃんに関心を寄せてくれることは、嬉しい反面、少し寂しい気持ちがしてしまうママもいます。

毎日、頑張っているママにも労いの言葉をかけたり、話を聞いてあげたりすると、ママも元気が保てやすくなるかもしれません。

端的に言いますと、以下はいわゆる「NGワード」と認識されます。

こういった言葉をママにかけないようにご注意ください。「良かれ」と思っての声がけかとは思いますが、子育てのパワーになるどころか、気力を著しく削いでしまう可能性も出てきます。

めちゃくちゃ覚えにくいと思いますが(笑)、上の頭文字をまとめて「はがみじかい(歯が短い)」と覚えてみてください。「か」がちょっと無理があるかな〜……。

「母親はこうあるべき」「子育てはこうしなきゃ」という「あるべき族」の人は産後うつになりやすい傾向があると(あくまで「傾向」です)、書きましたが、これはもともとのご本人の性格だけでなく、周りの「母親なんだから……」という言葉や態度などによって「あるべき族」にさせられてしまう場合もあります。

特に親御さんの時代と現代では、子育ての環境はまるで違いますし子育てに良いとされている情報が異なることも多々ありますので(例えば、40年くらい前は「抱き癖がつく」と抱っこを否定する情報がまかり通っていたりしました)、

ママを尊重して、ご自分たちの経験・知識を無理強いしすぎず、適切なコミュニケーションでママを支えてあげてください。

上記のNGワードと若干かぶっていますが、励ましたり、アドバイスをしたり、責めたり、否定的なことを言ったりするのは、知らず知らずのうちにママを追い詰める可能性があります。

親御さんの世代から見ると、経験が豊富ですから「もう、こうやってやればいいのに!」と思うことも多々あるかと思いますが、ママはまだまだ「新人ママ」。自分で色々と考えて実践しようとしているところなのに、知識と情報を上から押し付けようとすると、ママとしての自立の芽を積んでしまうこともありえます。

励まさず、余計なアドバイスはせず、責めるような言い方もせず、否定的なことも言わず、なるべく、ママの現状を受け入れてあげてください(もちろん、程度もありますが)。

特に、普段からグチが多めの人は要注意ですよ〜(笑)。知らないうちにポロポロと放り込んでくることがありますから!

「答えが分かっているのに伝えない」ことや「失敗するのが分かっているのに目の前で見届けなきゃいけない」ことは非常に難しい点もあるかと思いますが、これは一種の修行のようだと受け取っていただけると良いのかもしれません(笑)。

概ねの自治体では、子育てや家事を代行するようなサービス・サポートを行っています。しかし、どんなサポートを行っているのか、残念ながら現状では、1から10まで説明してくれる人はいません。自分で調べないと、知り得ない情報も意外にあり、「え、そんな無料サービスあったの?」ということも多々あります。

もしママに調べる余裕がなさそうでしたら、ぜひ、周りの人が代わりに調べてあげてください。


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ママを産後うつにしないために赤の他人のあなたができること

赤ちゃん連れのママを見ると、特に「ちょっと困ってそうだな」という時、何かしてあげたいけど、どうしたらいいの?という方も多いと思います。

そんな「赤の他人」のあなたへ。
こんな感じで「赤の他人」のママをサポートしてみてはいかがでしょうか?

▼をクリックして各項目の詳細がご覧いただけます。
基本的に、日本のママは遠慮がちで「自分で何とかしよう」と思っている人が多数派なので、「赤の他人」のあなたに積極的に助けてもらうよりも、特に何もせず、何か必要があれば助けてあげる、という感じで、「暖かく見守る」ことの方が求めてられているのかなと思います。

話かけるタイミングがあまり良くなかったりすると、余裕がない中で余計な会話をしなきゃいけない、と思われてしまったり、「手伝いましょうか?」と声をかけたりすると、返事をするのが億劫な時があったりしますので、「そっとしておいて欲しい」と思うママの方が多いのではないでしょうか。

暖かい視線を注ぎながら、特に何もせず、見守ってあげてください。

ただ、特に男性なんかだと、普通の顔をしているつもりでも、怖く見えてしまうこともあるのでね(笑)、気持ち、口角をあげて柔らかい表現作りを心がけてみましょう。

どうしても困っていそうな時、「何か出来ることはありますか?」と声をかけると、「頼れる人がいる」と思ってママが安心する場合があります。

ただ、我が子の相手をしていて、しっかりとした返信をする余裕がない場合もありますし、返事をするのも億劫な時もあったりするのも事実。声をかけるのであれば、ママの様子を見ながら、あくまで「相手ありき」でいきましょう。

我が子を褒められるのは、どのママにとっても嬉しいこと。子育てのパワーになります。

僕も娘がまだ赤ちゃんの時に、こう言われると、まるで自分が褒められたかのように嬉しかった記憶がありますね〜(笑)。

小さい子を連れているママにとって、一番気に掛かることは「自分は周りに迷惑をかけてはないだろうか?」という、あらぬ心配です。メディアやSNSなどでの、「子どもがうるさい」系の情報を見ているママにとっては、外に出ることは、いわば「アウェイ」。気持ちが休まることはなく、緊張した状態が続きます。

そんな中、声をかけるまでいかずとも、赤ちゃんにニコッとしたり、手を振ったりしてあげると、「ああ、この人は子育てに理解があるのだな」と安心できます。

これね〜、とっても困るんですよ。ずっと並んでいるのに、優先されなくてよい人たちによってエレベーターが乗り占められてしまって、また次のエレベーターが来るまで待つのって……。

「子育てしている人に優しくない社会だなぁ……」と思う、絶好の機会になってしまいます。

これは、電車やバスなどでも同様です。「空いているからいいや」はダメです。先に優先席に座っている人がいると、さらにその人がつい昼寝なんかしちゃったりしていると、その人を退けてまで座りにくいものです。だから、元気な人は、最初から乗らない・座らない。

バスや電車などでベビーカーを持ち上げる機会は必ずありますが、様々な荷物が入っていたりするので、ベビーカーを重く感じるママも多くいると思います。

でも、「持ってもらうのは申し訳ない」「ちょっと恥ずかしい」と思っているママも、これまた多くいるので、ベビーカーの持ち上げに関しては、「手伝いましょうか?」→「あ、はい……(どうしよう……)」というやりとりを省いて、「手伝いましょうか?」と言って返事を待たずに持ち上げ動作に入っちゃっても良い気もします。もちろん、相手の反応を見ながら、ではありますが。

こんなことを書くと後で「トモが書いたから余計なことをされた」ってクレームが来そうですが(笑)。

小さいお子さんを連れて外に出ると、泣き出したり、ぐずったり、少し騒いでしまったり、ということは多々あります。そのたびに眉をひそめて見られたのでは、ママは居心地が悪くて仕方ありません。

最近は公共の場での授乳に眉をひそめる人がいるそうですが、「じゃあどこでやるのよ?」、「授乳を求めて泣きじゃくる赤ちゃんを抱えながら、毎回、どこにあるか分からない授乳スペースを探して、行かなきゃいけないの?」ってことになります。

「目のやり場に困る」と言う人もいますが、そのくらいいいじゃないですか。困るんだったらそむけりゃ。そのくらいは多めに見て、サポートしてあげましょう。

その他にも、子どもがちょっと道を塞いでしまう、走っていてぶつかりそうになってしまう、などなど、あるかと思いますが、どれも「些細なこと」です。
怪我するかもしれない? いいんですよ、少しの怪我くらい。赤の他人のあなたがそれほど深刻に心配することじゃありません。

それよりも、「危ないから」「怪我するから」という予防のために、子どもの子どもらしさが損なわれる側面の方が、子どもの成長にとってはマイナスになる場合がありうることも、同じくらい、考えてみることも一つです。

いろいろ、多めに見てあげましょう。


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産後うつにつながりやすい現代の社会環境
〜親世代と現役世代の子育てはこんなに違う!〜


現在は、制度の面などから見ると、もしかしたら20-30年前よりも子育てへの公的サポートが増えているかもしれません。しかし、それでも産後うつ・子育てうつが増えているのには、現代特有の社会環境が影響しています。

これは科学的な見地にはなっていませんが、僕は以下の5つの点が、特に現在の産後うつや子育てに関係しているんじゃないかなと感じています。

昔は子どもも多く、子育てをする際に相談できる人たちが周りにたくさんいました。しかし今は「少子化」によって「子育てがマイノリティ化」してしまっている時代。

当然、周りを見回しても、子育ての相談をしたり、参考にしたり、共感してもらったり、助けてもらえる仲間が少なくなってしまっています。

また、近年は地域社会が崩壊気味で、近所の人ともやりとりする機会が減っています。つまり、現代では周りの人たちの理解とサポートを得ることが格段に難しくなっているとも言えるのです。

この現状は孤独な育児や子育てうつにもつながりうる可能性があります。

産後うつや孤独な育児から逃れるには、外に出て人とつながることや助けを求めることなどが必要になってきますが、これらは現在の社会環境によって、以前よりも難しくなっている、と言えるかもしれません。

個人情報保護法が施行されて、来年で15年。その浸透によって、他人の価値観やプライバシーを尊重するようになった反面、逆に最近は周りの人のことを「考え過ぎてしまう時代」になっている部分もあるように思います。

子育て中って、ホント〜にいろんな人の理解とサポートが必要なんですが、「こんなこと聞いたら迷惑かな」とか「手伝ってなんて言ったら嫌われちゃうんじゃないかな」とか「助けを求めたらハラスメントになっちゃうかも……」などと、気を使い過ぎてしまうと、周りに相談もできず、助けも求められず、孤独に子育てをする、という状態に陥ってしまうんですよね……。

そのことによってストレスが蓄積され、うつに繋がる可能性が出てきてしまいます。

子育てに積極的なパパ=イクメンが注目されるようになりましたが、メディアの報道とそれによって期待値のあがってしまったママの求めに、パパの現実が追いつかず、「イクメン・バブル」状態になってしまっていることも、ママのストレスを増大する要因の一つになっていると思います。

僕は「イクメン」という言葉が「育児をするパパ」という意味なのであれば、パパが「イクメン化」するのは当然のことだと思っていますが(パパなんだから育児するのは当然でしょ???)、労働環境によってはそれが許されず、職場と家庭の間で板挟みになっているパパも残念ながらたくさんいます(精神面で追いついていない場合も当然あります)。

また、イクメンになることを求められても、それに対する教育的な行為が学校でも職場でも、奥さんが健診に行っている産婦人科でもなされるわけではないし(なされていても、「20年間、子育てをする」上では十分ではない)、もしくは、上の世代から伝承されることでもないので、「何をして良いか分からない」状態が抜本的に変わらないままパパにならざるをえないことも影響していると思われます。

ただ、ママの立場からすると、「パパになったんだからしっかりしてほしい」と求めるのも当然のことではあるし、僕もパパとして「人生OS」を入れ替えて、きちんと勉強して備えるべきだとも思います。

また、妊娠が分かってから突然、数日内に出産があるわけではなく、概ね、「トツキトオカ」の準備期間があるわけですから、その間に、パパになる準備をしてもらいたいという気持ちも理解できます。

しかし現実として、家庭と仕事のバランスが上手く取れずに産後うつになってしまうパパが、実はママと変わらない割合でいるので、非常に難しい問題……。

やはり、育休制度や勤務時間の短縮化など、労働環境の変革と社会的な理解が急務だなぁと感じています。

スマホは非常に便利なものですが、これによって子育てにはマイナスになりうる点が2つあります。それは、「情報洪水」で溺れやすくなってしまうことと、心身共に閉じこもりがちになってしまうこと。

・一昔前であれば知らなかった(心配しなくてもよかった)情報
・ほんの一握りの人しか関係しない不安な情報

が白日の下に晒されてしまい、心配事が増え、それによって子育てについて、ネガティブに考えてしまう機会が増加
してしまいました。

子育てはオープンであればあるほど、自分と子どもを助けてくれる傾向があったりするものなのですが、スマホは使い方にとっては、子育てにとってマイナスになってしまうこともありうるのです。

平均初産年齢は、僕が生まれた1973年では24歳でした(内閣府の資料による)が、2011年に30歳を超え、「晩産化」が定着しています。

女性が社会で活躍する機会と選択肢が増えたことは素晴らしいし、僕は心から応援していますが、周産期医療の関係者によると、「晩産化」は出産・育児を難しくしてしまう要因も多々あるそうなのです。

年齢を重ねれば重ねるほど、当然、体力は低下する傾向がありますから、身体に負担のかかる妊娠・出産において、20代前半〜半ばで出産するよりも、難しい側面が増えてしまうのが現実です(もちろん人によって大きく異なります)。それによって難産になってしまうリスクも増えますし、産後の「子育てをする全般的な体力」が減ってしまい、「体が追いつかない」という声も多々聞きます。

また、40歳前後で出産する人が増えたということは、それだけ、社会で働いてきた年数も長いということ(人によって異なりますが)。

これが子育てにおいてどんな影響を及ぼすのかというと、ポジティブな面では、人生における様々な経験をしている点。年齢を重ねることで、人は精神的に落ち着いていく傾向がありますから、穏やかに子育てが出来る可能性が増える点。

一方、ネガティブな面としては、「あるべき族になりやすい」という点です。

社会生活が長く、自分のペースで人生を歩めば歩む年数が長くなればなるほど、生活の様々な面において「ここはこうすれば大丈夫だな」とか「これでうまくいく」など、やりくりする「コツ」を掴む知識・経験も増えますが、それは逆に「自分のやり方」が確立されてしまっているので、「ここはこうでないと、なんか気持ち悪い」とか「ここはこうあるべき」という「あるべき族」の傾向が強くなります。

産後うつになりやすい性格」のところで、「あるべき族」という点を指摘しましたが、生まれたばかりの赤ちゃんは「あるべき」思考では対処しきれません。にも関わらず、長年の習慣から、自分のやり方・考え方・捉え方を変えにくくなっていて、それによって自分を苦しめてしまう部分があるのかもしれません。

以上、書いた5点は良い悪いの話ではなく社会環境の変化によって、子育てを困難にさせる現実的な事柄としてまとめてさせていただきました。

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産後うつかなと思ったら

産後うつといっても、ひとりひとり症状が異なり、ママ一人一人の症状に合わせた、適切な対処が必要となります。

まずは、「あれ?ちょっとうつっぽいかも……」と本人や周囲が気づいたら、以下に取り組んでみてください。

・周りに話を聞いてもらう

一人で抱え込まないように、パートナーや家族、友人に話を聞いてもらいましょう。聞いてもらうだけで気持ちが楽になることがあります。

もし、近しい人に聞いてもらうことに抵抗があるようであれば、自治体の機関(保育士さんや助産師さん)でも大丈夫です。


・遠慮しすぎず、周りに助けてもらう

育児だけでなく、家事や仕事などを含めて、プレッシャーやストレスを軽くし、一時的に『ママやめ』させてもらえる環境を作ってもらいましょう。


・行政や子育て支援センターなどに相談に行く。

うつ的になると家族だけでは問題が解決しない段階に入り始めます。まず第一段階としては、行政や子育て支援センターなどに相談に行くこと。

もし本人が行きたがらない場合には、代理でパートナーや家族がまずは相談してみるのもいいかもしれません。


・カウンセリングを受ける

「カウンセリング」を受けることは、普段は中々思いつかないかもしれませんし、もしかしたらネガティブな印象があるかもしれませんが、特に初期段階には改善効果があります。

受診時間の短い医療機関に比べて、1時間〜1時間半など、比較的長い時間をかけて話を聞いてもらうことができ、ゆっくりと自分の気持ちに向き合うことができます。



・専門の医療機関を受診する

休養しても症状の改善が見られない場合には、躊躇なく、心療内科もしくは精神科の受診をしてください。投薬治療や行動療法など、うつの症状を改善させるための治療が行われます。また、症状によっては、入院治療が必要になる場合もあります。

「たかが産後うつ」と思わず、最悪の場合、自殺してしまうこともありうることを忘れずに、適切かつ迅速な対応をしましょう。

また、パートナーや周りの人たちも、不必要な偏見を持たないようにしてほしいです。家族が止めるパターンから悪化することも多々あるようです。

「産後うつ」や「子育てうつ」の疑いで受診することは、胸などに痛みを感じて受診することや、咳や高熱が止まらずに病院に行くこと、血圧が高ければ血圧の薬をもらうことなどと、何ら変わりはなく、決してあなたのせいではありません。しっかりと病院など必要な医療機関に助けを求めてください。

ただし、状況によっては本人では適切な思考ができなくなっていることもありますので、周りの人たちもしっかりと意思決定に入る必要があります。

ただし、「うつ」というのは医療機関に通うだけで改善しないケースも多々ありますし、「産後うつ」に詳しい医療者も日本ではあまり多くないのが現状です。

医療機関を信頼しつつも、あまり頼りすぎず、休養、周りの手助け、医療、福祉、カウンセリングなど、家族が自ら主導権を握り、複合的なアプローチで改善に努めてみてください。
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まとめ

「産後うつ」は、特別なママだけがなるわけではなく、誰もがなりうる病です。

「いのちを育てる」ということは、それだけ責任が重く、一人の肩で背負いきれるものではない、ということでもあります。

産後うつは、ママを苦しめるだけでなく、家族の幸せや子どもの成長にも影響しうるもの。追い詰められたママは最悪の場合、自殺や子どもの虐待につながることもあり、しっかりとした対応が必要です。

しかし一方で、原因や予防、対策はある程度、洗い出されてもおり、このページで書かれているような対策をなされれば、深刻な事態にならず、軌道修正を図ることも十分に可能です。

ママがうつっぽくなったら、いまこそ、家族で一致団結する機会。

苦しむママが一人でも減り、笑顔のママが一人でも増える社会を願っています。



映画『ママをやめてもいいですか!?』
監督・豪田トモ  他、スタッフ一同



『ママをやめてもいいですか!?』大丈夫、あなたはひとりじゃない。







■ 映画『ママをやめてもいいですか!?』予告編


参照:
MSDマニュアル家庭版
Royal College of Psychiatrists
日本周産期メンタルヘルス学会
大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室


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