驚きの松山日赤病院!!

IMG_3226.jpg ※ 松山日赤病院で命を守ってくださっている皆さま

先日、映画『うまれる』の上映と講演にお招きいただき、
愛媛県松山市の日赤病院をお伺いしました。

せっかくなので産科および小児科を取材させていただいたのですが、
とにかく、驚きの連続だったので、皆さまとシェアさせて
いただきたいと思います。

【1. 胎児カルテ】

松山日赤病院では、「お腹の中にやって来た時が命の始まり」という
認識のもと、胎児の頃からカルテをつくっています。

これによって医療履歴が取れるので、後々の治療に役立つそうです。

111208_3.jpg

【2. 産科+小児科の一気通貫サービス】

これは娘が生まれてから気づいた事なのですが、
0歳児の頃は、お母さんの免疫がなくなる6ヶ月くらいから、急に
病気になりやすくなります。

しかも、死亡や後の障がいにつながる事も
少なくないので、病院のお世話になる事が急に多くなります。
(0歳児の死亡は年間約3万人弱。出生数の2-3%)

ほとんどの場合、産まれるまでは産科で、産まれてからは小児科と、
全く別の病院・組織・人たちになってしまうので、出産直後の
「何だかよく分からない」時期には、特に不安に襲われます。

しかし、松山日赤病院では、この問題点を認識し、産科と小児科を
組織的にくっつけ、一気通貫の医療サービスが出来るようにしました。

111208_4.jpg ※ この図は凄いです!

【3. カウンセラーの活躍】

松山日赤病院の産科・小児科には、ドクターが約20人いらっしゃいますが、
その半分くらいの数のカウンセラーの方がいらっしゃいます。

これは、医療は決して技術だけでなく、
患者に何を・どのタイミングで・どのように伝えるかという事と、
患者の話をどのようにお聞きするかという「コミュニケーション」が
医療にとって、患者にとって、とても大切だという認識からです。

医療現場にカウンセラーがいるという慣例がないものですから、
最初の頃は、多少の反発もあったようですが、次第に
ドクターも、深刻な話を患者に伝えなければならない時などに、
カウンセラーに相談しにいくようになっていったそうです。

そして、カウンセラーに対して、「さん」付けではなく「先生」と
呼ばせ、ドクターと横一線である事を明確にした事も、スタッフの
意識改革に役立ったようです。

IMG_3222.jpg ※ 懇親会ではこんな嬉しいご用意も!

【4. 小児でなくなっても小児科へ】

小児医療というのは、文字通り、小さな子どもたちが対象になるので、
小児の頃に煩った病気でも、20歳を過ぎたら、それまでずっと見て
もらった先生ではなく、小児科ではない科の他の先生に見
てもらわないといけなくなってしまう事が多くあります。

これは患者にとって良くないという事で、
松山日赤病院では、病気を持った子どもたちが成長しても、
そのまま医療サービスを続ける事にしました。

だから、小児科の守備範囲は広く、たくさんの「大人」が来ています。

【5. ボランティア・スタッフの活用】

患者さんから、より多くの話を伺いたいと願うものの、なかなか
医療スタッフだけでは手が回らない。そこで松山日赤病院では、
患者と医療者の間に立つ存在として、ボランティア・スタッフを
組織しています。

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ボランティア・スタッフとは言っても、
何と2年間もの研修を経る必要があり、きちんとした人材です。

僕が伺った時も、引退された方々を含め、約200人の方々が
研修を受けていました。

IMG_3213_1.jpg ※ 近くにある日本最古の温泉・道後温泉にも足を伸ばしました

IMG_3211_1.jpg ※ 「千と千尋の神隠し」のイメージ舞台になっているそうです

【6. スタッフの仲が非常に良い】

これは皆さんにお会いしてすぐに分かりましたが、スタッフの皆さん、
とっても仲が良いんです。

通常の病院では、ドクターと看護師・助産師の間に上下関係があったり、
産科と小児科の仲が悪かったりする事もあるそうですが、
松山日赤病院では、そのような事は皆無です。

スタッフ間でしっかりとしたコミュニケーションを取れていないと、
しっかりとした医療サービスは出来ないという理論ですが、
当たり前のようでいて、なかなか出来ないよなぁと感じました。

講演の後に懇親会にも連れて行っていただいたのですが、
院長、ドクター、看護師、秘書の誰もが、建設的な意見交換を
しているんです。

通常、秘書の方は場をセッティングして、タクシーを呼んで、、、
というだけの事も多いですが(良い悪いは別にして)、秘書の方も、
「医療スタッフの一員」として皆が認めている様子がうかがえました。

院長やドクターだけがしゃべり続けるのではなく、
参加者の誰もが絶妙のタイミングで会話に参加し合っている。

それは会食の席だけでなく、おそらく普段の医療の現場でも
同じ姿が見られるのだろうと、心から感動しました。

こんな病院が地域にあれば、住民は幸せだなぁ。
と、とにかく驚きまくった取材でしたが、
これらの改革は一人のドクターによって推進されています。
それは、

産科・小児科のトップでもある小谷副院長です。

IMG_3207_1.jpg ※ 小谷先生と監督・豪田トモ

お会いして、小谷先生のリーダーシップによって、
日本の医療はさらに良くなっていくだろうと、
大きな希望を持つ事が出来ました。

やはりリーダーによって、物事は大きく変わるんだなと
改めて痛感しました。

さすがは「坂の上の雲」の秋山真之・古好兄弟を生み出した土地!
(日本の近代化に貢献した2人は松山出身です。)

上映に関しては、他のドクターと看護師から推薦があったそうですが、
病院で院内スタッフのために映画の上映をするという慣例は、
それまでありませんでした。

しかし、小谷先生は映画『うまれる』のチラシを見て、
「よし、やろう!」と即決。

「せっかくだから皆には綺麗な映像で見てもらおう」と言うことで、
ブルーレイ対応のプロジェクターを購入する気合いの入りようでした。

img059.jpg ※ 院内スタッフ様限定の上映会で、200名の講堂が満席になりました☆

IMG_3204_1.jpg ※ 院内ではこんな感じでポスターが貼ってありました

映画も一番前で見ていただいたのですが、
終了後に

「この映画は日赤の精神を体現している」

とマイクで
200名のスタッフに向かって語ってくださいました。

先生からは

「僕らは普段、映画の中で描かれているような事に取り組んでいますが、
医療者ではない豪田監督が僕らの事を代弁してくれているようで、
非常に勇気が出ました」

とお誉めいただく事が出来ました。

僕は、映画『うまれる』はこれまで脈々と命をつなげ、守る行為を
してきてくださった医療者の方々あってこそだと思っていますので、
小谷先生のお言葉は非常に光栄でした。

IMG_3218_1.jpg ※ ドクター、看護士、助産師さんなどが上映会に参加

松山日赤病院は、おそらく今後、今まで以上に日本の産科・小児科を
リードしていく病院になっていくでしょう。

メディアの方々、また、医療者の皆さまはぜひ一度、松山日赤病院に
訪れる事をおススメします。

監督・父
豪田トモ

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