藤原紀香主演ドラマ「ギネ」の原作者、岡井先生にお会いして。〜周産期医療も考えます!〜

もうすぐ日テレではじまるドラマ「ギネ 産婦人科の女たち」の原作「ノーフォールト」を書かれている、昭和大学の岡井先生にお会いしてきました。

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以前、この「ノーフォールト」を読んで、すぐにお会いしたい!と思い、お時間をいただいたのですが、とってもきさくな、素晴らしい先生でした!

今回先生にお話を伺ったのは、私たちがこのプロジェクトを通じて、周産期医療の問題に関して、とても想いが高まってしまったからです。

産婦人科の先生方を取り巻く周産期医療の現状につきましては、大変危惧していると同時に、共感の気持ちでいっぱいです。

「お産は神の領域」という考え方があると聞きます。

そう仮定すると、母は「神の代理人」であり、助産師さんや産婦人科の先生方は「神の使い」ではないかと思っています。

「おくりびと」ならぬ「むかえびと」。

こんなに神聖なお仕事があるでしょうか?

「神の使い」たる産婦人科医・助産師の皆様は、社会的にもっと高く評価されて然るべき方々のように思いますが、現状は氷の上で手術を続けるような、非常に厳しい状況であると聞きます。

いつお産があるか分からない中での過酷な労働の中、産婦人科医は医師の3Kと言われ、年々、人数が減ってきています。

助産師さんも必要な数の半分くらいしかいないそうです。

私たちもまだ数回たらずですが、いつ始まり、いつ終わるともしれないお産の瞬間に立ち会わせていただき、不規則性からお産の現場にいる方々はプライベートな生活を犠牲にしてまで産まれて来る命を支えようとしている方々だと、強い尊敬の念を持ちました。

ところが、毎年、10人に1人の産婦人科医が訴えられているそうです。
訴えられるとほとんど民事裁判では勝てないという状況なのです。

このような事実、ご存知でしたか?

メディアの報道でも「たらい回し」という言葉を多く聞きます。
もちろん、妊婦さんの命、赤ちゃんの命が失われることは堪え難く、悲しい事件です。

でも、産婦人科の先生たちも本当は助けたい、受け入れたい、けれど、絶対的な医師やベッドの不足などでどうにもならないという状況だったんだと思うのです。

また、何かあると責任が問われ、訴えられれば必ず負けてしまうという状況の中、危険な状態の妊婦さんを預かるのはもの凄くハイリスクな事だと理解できます。

しかも、お産は科学的に分かっていない事がとても多く、緊急時の判断が非常に難しいのです。
もし、お受けした妊婦さんが着いた瞬間に何かあった場合、メディアは誰にその責任を問うでしょうか?

担当医師が重責を担っている事が容易に想像されます。

もし私たちが、「世のため人のため」と、懸命に、命をすり減らしてまで映像を作ったとして、その作品が訴えられる可能性があり、しかも訴えられたら裁判で勝てないという状況だった場合、映像を作り続ける事は非常に難しいと思います。

これはどの職業にも共通の事ですし、魂を込めた仕事をしている職人にこそ当てはまる社会問題です。

しかし、このような事は世間のほとんどの方は、知らない。
聞いていない。
理解していない。

戦後、日本での死産は35人に1人の割合、妊産婦死亡の数は10万人に160人の割合(約600人に1人)でおきてしましたが、現在では、急激に減少し、死産は600人に1人(年間30,000件)、亡くなられるお母様は10万人に3人(約3万人に1人)にまでなりました。

これは世界で最も低い数字であり、全世界の平均は、10万人に400人、最も妊産婦死亡率の最も高いアフリカではいまだに10万人のうち830人(約120人に1人)のお母さんが犠牲になっています。

この安全性、誰に功績があるのかは一目瞭然だと思います。

しかし、「産まれるのが当たり前」の世の中になって、「産めなかった場合は医師の責任」とされてしまうのは、納得がいかない。もちろん、医師がミスをしてしまう場合もあるかもしれません。
でも、産婦人科・助産師さんたちを取り巻く現状を理解した上で、議論する必要性もあるのではないでしょうか?

本作では、妊婦さん達のドキュメントだけではなく、その周りを支えている周産期医療の現状まで踏み込んだ上で「うまれる」というテーマに取り組んでいきたいと思っています。

「命の現場」を映画にする、ということには、責任とプレッシャーがありますが、自分たちを信じて邁進していきたいと思います。

最後に、今週末11日で、「うまれる」の写真展が終了しまーす。
まだ行ってない!という方、ぜひちらっと足を運んでみてください。

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◇恵比寿の隠れ家バーにて「うまれる」の写真展開催中!!
(今週で終わり!!)
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おいしいワインを飲みながら、命の神秘を語り合いませんか?

【期間】2009年9月28日(月)~10月11日(日)
【場所】ダイニングバー vinsanto 東京都渋谷区恵比寿西2-1-7(恵比寿駅西口より徒歩3分)
【OPEN】18:00~翌4:00

※ 「行こう行こう」と思っている間に終わってしまいますので、
  ぜひ今夜! のぞいてみてください!

※ 出産ドキュメンタリー映画「うまれる」では、製作過程の報告や妊娠/出産に関わる感動的で役に立つ情報をお届けするメルマガを毎週日曜日に発行しています。
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(プロデューサー:牛山)

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コメント(2)

以前にも一度投稿させていただきました広島で産婦人科医院をしております藤原と申します。実は、私は昭和大学産科婦人科学教室の出身です。岡井先生が教授に就任された時、私は昭和大学病院ではなく他の病院にいたため、直接ご指導頂いた事はないのですが、広島で開業した際に大変お世話になりました。
 産婦人科の現場で働いている私が申し上げるのは、本来おかしい事かもしれませんが、産婦人科に関わる仕事について、牛山さんのように考えて頂けるのは大変有難く思います。私たちの仕事は、正直言ってきつい面は多々あります。各科別にみたら、産婦人科は訴えられる率は一番高く、産婦人科医の平均寿命が一番低いそうです。でも、だからと言って、そんなきつい現状だから、という事だけにこだわり、小さくなっていたら、真の意味での出産や生命の誕生の素晴らしさを伝えることはできません。
 私たち産婦人科医の仕事は、伝える事だと思っています。その内容はたくさんあります。昨日広島市内で、講演をしてきました。ソフロロジー式出産や胎内記憶の話をして、当院のテーマでもある‘未来へ..生命をつないで’とお話してきました。
 牛山さんを始め、関わっている全ての方々の気持ちがこもった、この映画『うまれる』は、きっと大きな反響を呼ぶ事と思います。この映画をきっかけに、日本がもっともっとよくなっていってくれたら、人々がより幸せになっていってくれたら、大きく期待したいと思います。
 映画の成功を心よりお祈り申し上げます。どうぞ頑張って下さい。

藤原先生、コメントありがとうございます!
産科医は本当に尊い素敵なお仕事だと思います。
来世では産科医になりたいと思っています(笑)。

今後ともよろしくお願い致します。
ありがとうございます!

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